HOME

更新日 :2019年02月23日

頑固な「ケイ酸カルシウム」を落とす方法と注意点【お掃除業者さん必見の洗剤技】

この記事をシェアする FaceBook X LINE Pinterest

 

こんにちは! 茂木和哉です。

清掃業の皆さん。

見た目が同じような水垢でも、簡単に落とせるものと、非常に頑固なものとがありますよね?
なぜなのか知っていますか?

それは、見た目が同じ白っぽい(カルシウム系)の水垢でも、種類がいろいろあり種類によって落ちやすさがまるで違うからです。

比較的、簡単に落とせる水垢というと、「炭酸カルシウム」が代表的です。
炭酸カルシウムは、酸性洗剤であれば落とすことができます。
ちなみに、おしっこが原因の尿石も炭酸カルシウムなので、尿石洗浄剤は酸性タイプになるわけです。

炭酸カルシウムとは見た目が同じ白色の水垢なのに、非常に頑固な水垢があります。
それが「ケイ酸カルシウム」です。
シリカスケールと呼んだりします。

ケイ酸カルシウムが頑固な理由

では、なぜケイ酸カルシウムが頑固なのか?

その理由を説明していくことにします。
理由は2つあります。

酸性洗剤で落とせない

1つは、酸性洗剤で落とせないからです。

水垢は、全て酸で分解できそうに思われがちですが、ケイ酸カルシウムは分解できません。
強酸の塩酸や硝酸でもダメですし、濃硫酸でもダメです。

では何で分解できるのか?

それがフッ化水素酸です。いわゆるフッ酸です。
しかし、フッ酸は非常に危険度が高く、フッ酸を配合した洗剤がほとんど出回っていません。

適した洗剤がないので、頑固な汚れとなるわけです。

 

素材と同質化しやすい

そして、もう1つが、素材と同質化しやすい点です。

浴室に必ずあるガラスや鏡。
それらはケイ素からできています。

実は、シリカスケールもケイ素からできています。
そのため、シリカスケールをガラスや鏡に付着したままにしておくと、同質化してしまいます。

もちろん付着してからの時間が長ければ長いほど、結びつきが強くなり、落ちにくくなるわけです。

 

以上2つが、ケイ酸カルシウムが頑固な理由です。

 

しかし、いくら頑固なケイ酸カルシウムといっても、落とさないわけにはいきませんよね?
そこで、ここからはケイ酸カルシウムの洗浄方法を考えていきます。

 

研磨は最終手段

まず物理的洗浄です。
いわゆる「研磨」です。

化学的に分解できない以上は、研磨して落とす方法を選びたくなります。

同質化したケイ酸カルシウムの硬度は、鏡やガラスと同じです。
そのため、鏡より硬度が高いもので研磨する必要があります。

ということは、鏡やガラスに傷をつけてしまうリスクが非常に高まるわけです。

 

そこで、研磨作業の知識と経験が必要になります。
実は、研磨作業の経験者が傷をつけずにうまく水垢を落とすことができたとしても、肉眼では見えていないだけで、小傷が付きまくっている状態なのです。

「肉眼で見えないなら問題ないよね?」
と思われがちなのですが、それがのちに大きな問題となります。

なぜかというと、傷があることで水垢を呼び込みやすくなり、汚れるのが早くなるからです。

それだけではありません。
傷に水垢が入り込み、より結びつきが強くなり、さらに落ちにくくなります

 

だから私は、鏡やガラスについたケイ酸カルシウムを、即、研磨で洗浄することはおすすめしません。
研磨は最終手段として、まずは洗浄剤を試してみる

という流れの方が良いと考えています。

 

フッ化アンモニウム配合の洗浄剤を使う

「じゃあ、危険なフッ酸で落とすの?」
と思われた方。
ご安心ください。

フッ酸の仲間に「フッ化アンモニウム」というものがあります。
それでもケイ酸カルシウムを分解できるのです。

そのため、フッ化アンモニウム配合の洗浄剤を使えば、ケイ酸カルシウムを落とすことができるのです!

 

ただし、1つ注意があります。

フッ化アンモニウムといってもフッ酸の仲間です。
種類によっては、とても危険なものもあるということです。

 

そのため、洗浄剤選びは重要です。
必ず、危険度の低いものを選ぶようにしてください。

どうやって危険度の低いものを選ぶのか?
それは、「劇物の表記がないものを選べば大丈夫です。

 

フッ化アンモニウ配合の洗浄剤の選び方

フッ化アンモニウム配合の洗浄剤の危険度を知る上で、目安となるのが劇物扱いなのか、そうでないのか。
この一点につきます。

実は、フッ化アンモニウムと言っても種類が、
・ケイフッ化アンモニウム
・ホウフッ化アンモニウム
・酸性フッ化アンモニウム(別名:一水素二フッ化アンモニウム)
・中性フッ化アンモニウム(別名:フッ化アンモニウム)
と4つあります。

この中で、洗剤にちょっとでも含まれているだけで劇物扱いになるのが
ケイフッ化アンモニウム
ホウフッ化アンモニウム
です。

酸性フッ化アンモニウムについては、4%未満であれば、含まれていても劇物扱いになりません。
そして、中性フッ化アンモニウムは、いくら含まれていても劇物扱いにはなりません。

ということは、危険度に順位をつけるとなると
第1位 ケイフッ化アンモニウム
第1位 ホウフッ化アンモニウム
第3位 酸性フッ化アンモニウム(別名:一水素二フッ化アンモニウム)
第4位 中性フッ化アンモニウム(別名:フッ化アンモニウム)
となります。

ケイフッ化アンモニウムやホウフッ化アンモニウムが使われているものは、すべてダメ
酸性フッ化アンモニウムなら、4%以上はダメで、4%未満はOK
中性フッ化アンモニウムなら、いくら含まれていてもOK
ということになります。

 

私も現場に入っていた頃はそうでしたが、清掃業者さんなら少しでもキレイにして、お客様に喜ばれたいという気持ちがあります。
そのため、キレイになるなら、危険な洗浄剤でも使ってしまう方がおられます。

しかし、健康が第一のお仕事です。
あなたの代わりは誰もいません。
化学薬品の健康被害は、すぐにあらわれず後々現れる場合もあるので油断は禁物です。

それと、いくら危険な洗浄剤でも、使い続けると慣れてしまい、気のゆるみ、安全対策の怠りが出てしまうかもしれません。

万が一のことが起こった時に、リスクを下げるためにも、使う洗浄剤は、劇物でないものをお使いになることを私は強くおすすめします。

実は、私が開発した洗浄剤に、先ほどお伝えした、
・ケイフッ化アンモニウムやホウフッ化アンモニウムが使われているものは、すべてダメ
・酸性フッ化アンモニウムなら、4%以上はダメで、4%未満はOK
・中性フッ化アンモニウムなら、いくら含まれていてもOK
の条件が全てにあてはまるものがあります。

それが、瞬間水あかクリーナーです。

落とせない水垢があって困っている方、まだ危険を冒してまでフッ酸をお使いの方、ぜひ一度お試しいただければと思います。

購入はこちら

瞬間水あかクリーナー200mL


 


洗剤職人「茂木和哉」が書いた、年末の大掃除に必ず役に立つ1冊です!