HOME

更新日 :2019年02月25日

酸性洗浄剤の界面活性剤選びは実は重要なんです【お掃除業者さん必見の洗剤技】

この記事をシェアする FaceBook X LINE Pinterest

 

こんにちは! 茂木和哉です。

酸性洗浄剤の用途は、主にスケール(水あか)汚れの洗浄です。
そのため、酸性洗浄剤に配合する界面活性剤選びは、それほど重要なものではないと思われがちです。

なぜなら、界面活性剤を洗浄剤として考えた場合は、洗浄可能な汚れは、皮脂汚れのみだからです。
酸性洗浄剤の用途とは関係ないのです。

しかし私の場合は、酸性洗浄剤に界面活性剤を使用する場合でも、開発する時は、良く考え何度もテストして選んでいます。

では、なぜ中性洗剤やアルカリ洗剤ほど界面活性剤の働きを必要としない酸性洗浄剤の界面活性剤選びに私がこだわるのか?
その理由は3つあります。

 

まず1つ目は、使いやすくするためです。

例えば、
・泡立ちを良くする
・泡立ちを抑える
・泡切れを良くする
・粘度をつける
などは、界面活性剤でどうにかできます。

このように、洗浄目的でなく使いやすさをアップするために、界面活性剤を選んでいるのです。

 

2つ目は、作業効率をUPする目的です。

例えば、浴場の水あかの洗浄を目的とした酸性洗浄剤の場合、酸性洗浄剤を使用する前に、アルカリ洗浄剤やバスクリーナーで皮脂汚れを先に落とします。
その後で、酸性洗浄剤で水あか汚れを落とした方が、頑固な水あか汚れを簡単に、そしてキレイに落とすことができます。

その理由は、水あか汚れを覆うように皮脂汚れが張り付いているからです。
皮脂汚れは、酸性洗浄剤ではなかなかキレイに落とせません。
皮脂汚れは酸性なので、同じ酸性の洗浄剤では、中和作用が働かないのです。

中和作用が働くアルカリ洗浄剤や、皮脂汚れを分解できる界面活性剤が主成分の中性洗剤(バスクリーナー)を、先に使うのが基本となります。

しかし、酸性洗浄剤へ使用する界面活性剤が、皮脂汚れに洗浄力が高いものであるならば、水あかと皮脂汚れを同時に落とすことが可能です。
それができれば作業時間と労力は大幅にカットすることができます。

そんな一石二鳥な洗剤にしたいがために、私は少しでも洗浄力が高い界面活性剤を選ぼうとしているわけです。

 

3つ目が、安全対策です。

危険度が高い酸性洗浄剤を、少しでも安全に使っていただくための1つの対策として、粘度を上げる方法を、私はよく使います。
粘度を上げることで、液ハネ、液トビを抑え、安全に洗浄作業が進められるからです。

配合成分の関係上、粘度を上げにくい酸性洗浄剤もあります。
できるものは粘度を上げるよう努力をします。
その増粘させる方法に使用するのが、界面活性剤なのです。

また、界面活性剤は泡とヌルツキをつくります。
その泡とヌルツキは、洗浄剤のすすぎ残りの目安となり、危険度が高い酸性洗浄剤のすすぎ残りを防いでくれます

 

この3つのことから、私は、酸性洗浄剤であっても界面活性剤選びをこだわっているのです!


 


洗剤職人「茂木和哉」が書いた、年末の大掃除に必ず役に立つ1冊です!