鞄のクリーニング・色補修を取材!カビ・シミ・角の傷が消え去った日

汚れやキズが気になって、長い間使っていない鞄。実はプロの技で、そんな鞄が美しくよみがえる、ということを知っていますか?
今回はプロによる、革製の鞄のクリーニングと色補修を、取材してきました!デリケートな革を良い状態で保つために、特殊な溶剤で洗って、保湿するというプロならではのクリーニング。こだわりのハケで、革の表面に色ムラを残さず美しく自然に仕上げる色補修。そんなプロの技を、ぜひご覧あれ!

OCCIN

2017年11月06日

みなさん、クローゼットの中に少し汚れていたり、色がはげていたりする鞄はありませんか?
そういう鞄って、使う気にもならないし、でも捨てる勇気もなく、ずっと置いたままにしていることが多いと思います。

そのままクローゼットの肥やしになってしまっている鞄。
もう一度、使えるようになったらいいなと思いませんか?

そんなあなたに、どうしてもおすすめしたいのがプロによる鞄クリーニングと色補修。

鞄についた汚れを、水洗いで落とすクリーニング。
そして、クリーニングでは落とせない汚れ、キズや色落ちを、色を入れることで目立たなくして、キレイな革の色にしていくというのが色補修です。

今回、プロによる鞄クリーニングと色補修を取材してきました!

大切な鞄を、長く大切に使っていくために

大切な鞄を長く大切に使い続けていくには、定期的なお手入れが欠かせません。
革の鞄のお手入れには、大きく分けて「修理クリーニング色補修」の3つの方法があります。

 

修理
鞄の破れや穴あき、縫い目のほつれ、パーツの不具合を直すこと。
ハンドル(持ち手)やファスナー、内袋の交換、根革修理などがある。

クリーニング(クレンジング)
鞄についてしまったシミや汚れ、カビを落とすこと。表面がなめらかで最も一般的なタイプの革素材であるスムース革や、起毛素材の革であるスエード、またキャンバス地の鞄もクリーニングすることができます。

色補修
色落ちや色褪せしてしまった鞄を元の色に戻すこと。
表面についた擦り傷を直すのも、実は色補修。

 

鞄の修理のお話は、ここではとても語りつくせません……。
もう1つの記事で、プロの鞄修理の魅力を確かめてみてください。

 

今回は、鞄を使っていく中で、どうしても避けられない汚れや色落ち。
こういった鞄を、クリーニングで汚れを落として、色補修で本来の色に近づけていきます。

そんな、鞄を「美しく見せる」プロの技の、お話です。

今回の鞄クリーニング・色補修は…

今回、鞄クリーニング・色補修をお願いしたのは、二子玉川 美靴工房(ふたこたまがわ びかこうぼう)の紺野さんと保科さん。

一番左の方が紺野さん。真ん中の方が保科さんです。

二子玉川にあるお店は、落ち着いていておしゃれなインテリアで、気軽に入りやすい雰囲気。
鞄だけでなく、靴や財布など革製品全般の修理やクリーニング、色補修も行う、革製品補修のオールラウンダーのような職人さんです。

美靴工房さんでは、革製品のクリーニングや色補修をする際に、独自で配合された溶剤を使っています。
修理の工程や色補修の技術を生み出すのに、8年もの歳月をかけたそうです。
革製品を美しくよみがえらせることへの強いこだわりと情熱を感じます。

普段、「職人さん」と聞くと、なんとなく男性の方が思い浮かぶかもしれません。
でも、美靴工房さんは、職人さん全員が女性の方。
白衣の汚れ具合に、修理というお仕事の大変さを感じます。
女性の方は、鞄や靴の仕上がりについて相談しやすいかもしれませんね。

 

今回、クリーニングをお願いしたのは、紺野さん。
革製品を水洗いする、クリーニング全般を担当されています。

色補修をお願いしたのは、保科さん。
革製品の色補修を担当されています。

 

鞄クリーニング・色補修の流れ

はじめに、鞄クリーニング色補修の流れをご説明します。

鞄クリーニング・色補修の流れは、こちら。

1. 風で細かいゴミやホコリを吹き飛ばす

2. ブラシに溶剤をつけてこする

3. 保湿剤につける

4. 水分を飛ばして乾かす

ここまでで、鞄クリーニングはできました。
クリーニングだけの場合は、これで完了です。

 

ここから、鞄の色補修に入ります。

5. 下地剤を塗る

6. ヤスリでキズの凹凸をなくす

7. ステッチ(縫い糸)・金具・コバ部分をマスキング

8. 色補修に使う色資材を調合する

ここまでが、色補修をする前の下準備。

 

いよいよ色を入れていきます。

9. ハケで色を入れていく

10. 乾燥させる

これで、色補修も完了。

作業に使われるのは、革の保湿剤や下地剤など、プロならではの道具。
そして、水で洗ったり、やすりをかけたり、色を塗ったりというプロの技。
もう自分ではできない壮大な作業ですよね。

 

それでは、プロによる鞄クリーニング・色補修、ぜひともご覧あれ。

 

鞄をクリーニングする

今回、鞄クリーニングをお願いしたのは、写真のオフホワイトの革のトートバッグ。
オフホワイトは高級感があって、とてもおしゃれですが、どうしても汚れやキズが目立ってしまいますよね。

クリーニング前の状態が、こちら。

かなりハイブランドの鞄ですが、明るいオフホワイトというよりも少しくすんでしまった状態になっています。
ただ、これよりもさらに汚れているのが底の部分。

 

全体的にかなり黒ずみが目立ちますね。オフホワイトは、汚れが目立つから最初から買わない、という方も多いのではないでしょうか?
これ、ほんとうにキレイな元のオフホワイトに戻るの?って私も疑問に思います。

 

こちらが、ハンドル部分。
全体的にかなり黄ばんでいて、ひび割れがたくさんできている状態です。

このままでは、どんなにいい鞄でも、雰囲気が台無しですよね。
それでは、鞄クリーニングの工程を見ていきましょう。

 

1. 風で細かいゴミやほこりを吹き飛ばす

クリーニング前の鞄の中には、細かいゴミやほこりがたくさんたまっている状態。
そのため水洗いをする前に、ゴミやほこりを飛ばします。

ここで使うプロならではの道具が、エアー。
勢いよく風が出てくる機械です。

エアーを鞄の中に吹き付けることで、たまったゴミやほこりを吹き飛ばします。

 

下を向けて、パンパン叩くだけでは細かなゴミやホコリは、完全には落ちません……。
鞄の中でエアーを何周もさせて、かなり念入りに風をかけていきます。

 

2. ブラシに溶剤をつけてこする

それでは、いよいよ洗っていきます。

鞄を洗うときに使う液体は、美靴工房さんが独自に配合した溶剤。

「溶剤は、スムース革、起毛素材、キャンバス地など、生地の種類によってそれぞれに合う溶剤を使っています。」

 

 

紺野さんは、ブラシを溶剤にジャブジャブとつけて、そのまま鞄の表面をゴシゴシ洗っていきます。

「豚のブラシは、柔らかく、革を傷めることがないので使っています。超音波による革の洗浄などもありますが、革製品は非常にデリケート。人間の手であれば感覚で調整できるため、優しく洗えます。」

革のかたちに合わせて毛は動きますが、鞄の黒ずみはこのブラシでしっかりとれていきます。

 

汚れや黒ずみがひどかった底部分は、念入りに何度も擦って落としていきます。

汚れを落としきったら、鞄全体を水で洗い流します。
革の鞄を水で洗うなんて、あまりなじみのない光景ですよね。

 

3. 保湿剤につける

洗い終わったら、鞄を丸ごと保湿剤につけます。

この保湿剤も美靴工房さんが独自に配合されているもの。
羊の毛の油であるラノリンなどが含まれている保湿剤で、いわば革の栄養剤です。

「この工程がとても大事。革には必要な油分があります。水洗いをすることで、革に必要な油も一緒に落としてしまうため、このまま乾かすと革はパリパリに乾燥してしまいます。女性の肌が保湿させることでお化粧がのりやすくなるように、革もしっとりさせることでこの後の色補修の際に色がのりやすくなります。」

鞄を保湿剤にしっかりつけることで、見た目にも分かるくらい、表面がつやつやに。

 

4. 水分を飛ばして乾かす

タオルでざっと拭いた後、エアーで細かい水分を飛ばしていきます。

金属部分は、特に丁寧にエアーをかけます。
これは、金属に水分が残っているとサビの原因になってしまうため。

 

エアーをかけたあとの状態が、こちら。

黒ずみが目立たなくなり、より明るい白になりました。
少し残っているキズは、この後の色補修で目立たなくしていきます。

 

全体は、このような感じ。
やはり、明るくなりましたね。

この後、一定の温度で空気を対流させている特殊な部屋で、洗った後の鞄を1日ほどおいて乾かします。

「革って水洗いできるの!?と思うかもしれません。確かに、合っていない溶剤を使ったり、乾かすときに熱を当てすぎたりすると、形が崩れてしまうこともあります。ですが、独自にブレンドした溶剤を使って、乾かす温度や速度を適当なものにすることで、革を傷めることなく洗うことができます。」

 

このオフホワイトの鞄は、このあと色補修をしてもらいました。
果たしてどんな仕上がりになったか、気になりますね。

 

プロの「鞄クリーニング」のできあがりを見てみる

それでは、クリーニングと色補修をした鞄を見てみましょう。

全体は、こんな感じ。

もう、一目見ただけで分かりますよね。
補修前は、少しくすんだホワイトという感じでしたが、白さがぱっと明るくなりました。

さて、補修前は黒ずんでいて汚れもあった底部分を見てみましょう。

底部分の黒ずみが、まったくなくなりましたね。
自分で落とすことのできない革の汚れは、クリーニングによる汚れ落としと、色を上からつけることでキレイになります。

続いては、ひび割れと汚れが目立っていたハンドル部分。

ハンドルは全体的な黄ばみがなくなり、ひび割れの跡もなくなりました。

「ハンドルは丸みがあるので、色を入れるのはかなり難しいですが、一番傷む部分なので重点的に補修します。

一般的な革製品のハンドルは、もともと樹脂で固めたうえで色を入れてある部分。
つまり、ハンドルのひび割れは、革自体が割れているのではなく、樹脂が割れているという状態です。

そのため、ひび割れたハンドルは、割れている樹脂を一度すべて削ります。そのうえで、また樹脂で固めて乾かしてというのを繰り返して層を作ります。そして、作った層の上から新たに色を入れるという方法で修復しています。」

 

白い鞄は、汚れが目立ちそうだからそもそもあまり買おうと思わない、という方も多いかもしれません。
だからこそ知ってほしいのが、この技術。
高級感のある白さは、プロの技で復活させることができるのです。

 

鞄の色を補修する

ここからは、鞄の色補修の工程をご紹介します。

今回、鞄の色補修をお願いしたのが、写真の茶色い革のハンドバッグです。

こちらも、フランスのハイブランドの鞄。
全体で見ると、あまりキズや色落ちは目立たないように見えます。
ですが、写真の右下、底面の隅にキズができていることがわかります。

 

近づいてみると、キズやカビがもっとよくわかります。

四隅は、擦れたことによる色落ち、そしてキズがたくさんありますね。
さらに、鞄の上側には黒いポツポツとしたカビ染み。
これは洗っただけでは、落とすことはできません。

そんな鞄に色を付けることで、元のキレイな革の色を再現していきます。

今回、色補修をお願いした保科さんは、色補修に対して並々ならぬ情熱とこだわりを持っている職人さん。
最上の色の資材を求め、フランスの職人さんに何を使っているのか聞きに行ったこともあるそうです。

それでは、そんなプロ中のプロによる鞄の色補修を、ご覧あれ。

 

1. クリーニングをしたあと、下地剤を塗る

色を入れていく前に、まずは先ほどの鞄クリーニングを行います。

鞄の状態によっては、クリーニングのみで終わり!という場合もあります。
ですが、色補修をする際には、必ずクリーニングが必要なのです。

「修理に持ってこられる時点で長い間お使いになっていない鞄が多く、乾燥して革がパリパリになっている状態のものが多いです。一度汚れを落として保湿することで、革の状態をよくしてから色を入れていきます。

乾燥しているという状態は、革にとって劣化の原因になってしまいます。持ち手の革なども、パリパリに乾燥しているものより、手の油が染み込んでいるもののほうが状態はいいです。

女性の肌と同じように、洗って保湿をするという工程がとても大事です。」

革がしっとりとしていることで、色がのりやすくなるため、仕上がりもキレイになります。
色補修を美しく行うためにも、クリーニングは必要なものだったのです!

クリーニングの後、色補修をする場合は、革に下地剤を塗っておきます。
これは、革に色をのせたときの発色をよくしたり、色を浸透させやすくしたりする革専用の保湿剤です。

 

2. ヤスリでキズ部分の凹凸をなくす

凹凸がある状態のままで色を入れてしまうと、色の入り具合にムラができてしまいます。
まずは一度、ヤスリでキズのある部分を均一にならすことが重要です。

ここで保科さんは、3種類のヤスリを取り出します。
キズが大きい部分には目の粗いもの、小さい部分には目の細かいもの。
表面の状態によってヤスリを使い分けます。

「そのまま色を入れてしまうと、色が浸透しすぎてしまってその部分だけ濃くなってしまいます。そこで、キズの周辺を紙ヤスリでならして凹凸をなくし、何もない状態にしていきます。これで色を均一にのせられるようになります。ハンドル部分など、特に傷みの激しい部分には目の粗いヤスリを使います。」

 

表面が傷まないのだろうか、と少し心配になるくらい大胆に、ガシガシとヤスリをかけていきます。

 

ハンドルや底、マチなどの細かい部分も、残すところなくしっかりヤスリをかけます。

ヤスリをかけ終わった革は、かなり色が薄く、白っぽくなっていて、表面が削られたような状態になっています。
つまり、一度何もない、さら地のようにすることで、別の色に染まる準備ができた状態。

ヤスリをかけ終わったら、粉はエアガンで吹き飛ばします。

 

3. ステッチ(縫い糸)、金具、コバ部分をマスキング

ステッチ、金具、コバと呼ばれる部分にマスキングテープを上から貼ります。

ステッチとは、鞄の革を縫ってある縫い糸のこと。
この鞄のステッチは、白。
本体の色に染めてしまわないようにマスキング。

 

金具部分にも、色がついてしまわないように、マスキングテープを貼っていきます。

 

革の端の少し厚い黒の部分をコバと呼びます。
コバも、鞄本体の色とは違うためマスキングテープを貼っていきます。
ここで、保科さんが使っているのは、意外にも市販のマスキングテープ。

「3Mのマスキングテープがものすごく使いやすいんですよね。」

保科さん、テープをピッと切って、手際よく貼っていきます。

 

4. 色資材を調合する

マスキングが終わったら、色補修に使うための、色資材を調合していきます。

今回の色補修で使うのは茶色です。
ただ、「茶色」といっても明るめのもの、暗めのものを混ぜて、鞄の色補修に最も合った色をつくっていきます。

どれをどの分量というのは、企業秘密。
自然な色になるよう調合するのも職人さんの技です。

実は保科さん、なんとパリの鞄職人さんの元まで行って、使っている資材を教えてもらったこともあるそう。
現在は、その教えてもらった色資材を使っているわけではないそうですが、色資材にはかなりのこだわりがあります。

 

5. ハケで全体に色を入れていく

下準備はこれで完了。いよいよ、色を入れていきます。
ここで登場するプロの道具は、ハケ。
ただし、このハケ、そんじょそこらのハケとはわけが違います。

実は、美靴工房さんが色補修で使うのは、漆塗りで使われるハケ。
以前は、色の出るエアガンのような、色を吹き付ける機械で色を入れていたといいます。
ですが、わざわざ仏壇職人さんのところに3年ほど通ってハケの使い方を習得したそうです。

「キズの深さや鞄の部位、ブランドによっても色の入れ方は違います。そのため機械よりも、ハケのように自分の手で濃淡を加減できるもののほうが適しています。

ただ、ハケはムラもできやすく使いこなせるようになるまでには、3年ほどかかりました。」

 

まずは、細かいキズの部分に少しずつ色を入れます。
ここは、かなり慎重な作業。

「市販の色補修剤を使われる、という方もいらっしゃると思います。しかし、市販の色補修剤は『簡単に色がつく』と謳っているだけに、つけた色自体も落ちやすいんですね。そのため、乾いた状態でも、鞄などにつけた色補修剤が服についてしまう、という危険性もあります。」

 

細かいキズの修復が完了したら、全体を均一に塗っていきます。

いわゆる「塗る」という作業というより、ハケの毛先を少しだけ表面につけて素早くサッサッと動かす、という感じ。
言ってみれば、ハケで少しずつ色を革の表面に「吹き付けていく」。
一度に厚く塗ってしまうと、光沢のないマットな質感になってしまい、仕上がった時に革のツヤ感が失われてしまうのです。

 

塗り方と同じく大事なのが、塗るスピード。
速め、を意識して塗っていきます。

これはマニキュアと同じ。
ゆっくりベタベタとハケを押し付けて塗ってしまうと、ハケのムラができてしまうのです。

 

6. スポンジで色を入れていく

ハケで色を入れたら、目の細かいスポンジで少しずつこすって色を定着させつつ塗る、という作業を続けます。
スポンジ、といっても、食器用のいわゆるスポンジではなく、やすりの種類の1つであるスポンジ研磨剤。

そのスポンジに色資材を少しつけて、細かくこすって色を定着させていきます。

「色を入れる上で最も難しいのが、表情出しです。

革にはブランドごと、商品ごとにツヤなどの特性があります。例えば、もともとツヤ感のある素材を厚く塗ってマットにしすぎたり、マットな素材を塗るのにツヤが出すぎたりしてしまうとその革はまったくの別物になってしまいます。

その革の特性を生かして、自然に違和感なく塗り上げることが難しい点です。」

鞄や財布などの革製品は、部分によって色の入りやすさが異なります。
薄く塗る部分と濃く塗る部分を調整して、全体的な色の仕上がりが均一になるように塗っていく保科さん。

 

7. ステッチ・コバに色を入れていく

全体に色を入れたらステッチの上に貼っていたマスキングテープをはがして、ステッチのキワ、ぎりぎりの部分に色を入れていきます。

白いステッチが茶色に染まらないよう、ここは慎重に塗っていきます。

その後、コバ部分のマスキングテープをはがして、コバに色を入れます。

 

8. 乾燥させる

色を入れたら乾かします。

乾いたら、また色を入れて乾かす。
これを全部で2~3回繰り返すことで、色を少しずつ革に定着させて不自然でない色を再現していきます。

そのため、全工程は最短でも5日。
2~3回色を重ねたときにどのような色になるかを想像しながら、少しずつ色を入れていくそうです。

「革によって、その色補修剤が合う、合わないがあります。繊細な革に強めの色補修剤を使ってしまうと、それによってシミや変色を引き起こしてしまう可能性もあります。プロの色資材ですと、そういうことはありません。

きちんとどの革にどの色資材が合うのかを見極めるのも、わたしたちのお仕事です。」

 

最後の色入れを終えたら、金具のマスキングテープをはずします。
乾いたら色補修の完了です。

 

プロの「鞄の色補修」のできあがりを見てみる

それでは、色補修をした鞄を見てみましょう。

全体的に均一な色になりましたね。

細かい汚れがなくなり、自然な光沢が出ています。
のっぺり色をのせただけでは再現することができない自然さ。
これがプロの技なんだ、と思います。

 

隅の部分は擦れて、色が落ちたりキズが入ったりしていましたが、補修後は自然に色が入っています。
また、色が薄くなっていたコバ部分の色も、濃く補修されて、より革らしさが引き立っていますね。

 

カビ染みができていた鞄の上側。
補修前は、汚れやカビで黒くなっている部分と、色落ちで薄くなっている部分が気になりますね。

補修後を見てみると、汚れや色落ちが完全に消えています。
また、少し色が濃くなったことで光沢が増して、高級感が際立ちます。

 

汚れならまだしも、色落ちや色あせなど、自分ではどうすることもできない鞄の傷みを補修してくれるのが、プロの技ですね。

 

青い鞄の色補修

今回、他にも青い鞄の色補修も見せていただきました。

この鞄、擦れたことによる四隅の色落ちがかなり激しかったもの。
四隅の、補修前と補修後を見比べてみましょう。

四隅の色落ちは、かなり部分的。
その部分のみを補修しようとすると、かえって入れた色が目立ってしまうのでは?と思っていましたが、全てが自然に、均一に仕上がりました。
この鞄もきちんと色が入ったことで、補修前には見られなかった光沢が復活しました。

 

続いてはハンドル部分。

補修前のハンドルは色がかなり剝げて、土ボコリのような色に。
コバ部分も色が薄くなっていて、キズも気になります。

補修後は、キレイに色が入って、汚かったコバ部分もしっかり黒に塗り直されています。

 

色落ちした部分のみを色を入れるという補修ではなく、全体を自然に高級感のある革の色に持っていく、というプロの方の技術を体感することができました。

 

職人さんからひとこと

最後に、今回、色補修をしてくださったプロから、一言。

 

二子玉川 美靴工房
保科さん / 紺野さん

「鞄に黒カビが生えてしまって、もうダメだと思っている方、多いかと思います。

他にも四隅の擦れやひび割れ、金具はとれてしまった、など、これはもう直せないと思ってしまう方も、一度現物を見てどのような補修ができるのかご提案させていただくことが可能です。
もう直せないと判断する前に、一度お問い合わせいただくことをおすすめします。」
そして、今回の鞄クリーニング・色補修の様子を動画にまとめました。
ぜひ動画でもプロの鞄修理の技を確認してみてください!

 

まとめ

色落ちや、汚れ、カビ。
せっかく高級感のある鞄も、このようなものがあるだけで台無し。
逆に、それさえなければ、美しく見えるのに……。と、思ってしまいますよね。

クリーニングをすることで、鞄もメイクをする前の女性の肌のように、たまった汚れを全て落としてしっかり保湿。
そして色補修の醍醐味は、メイクのようにキズや汚れを隠しつつ、経年による色の変化も生かして自然に仕上げる、ということ。

鞄のトラブルにはあらゆるアプローチ方法があります。

今回、鞄クリーニング・色補修をしてくださったのは、二子玉川 美靴工房の紺野さんと保科さん。
丁寧な縫製と、自然な仕上がりの色補修で、美しくみせることにこだわっているプロ中のプロです。
ありがとうございました!

長い間クローゼットの中に眠っている汚れた鞄、直るかわからないキズやカビの入った鞄。
もし、捨ててしまうか迷っているのであれば、鞄のクリーニング・色補修をしてみませんか?

ぜひ「あなたのマイスター」でプロのお仕事を体感してください!

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一人暮らしを始めた当初は、「洗濯ネットとか使う意味あるの?」なぁんて思ってた僕ですこんにちは。 だってほら、ただの袋じゃないですかあれ。 なら別に無くてもいいじゃん? と使わず洗ったのが運の尽き、まだらに青いシャツの完成 […]

服・衣類のカビは白黒2タイプ!早めのエタノール、最終手段は漂白剤

久しぶりにクローゼットから取り出した服に、なんか白いものがついてるな…とか、黒いぽつぽつがあるな…なんていうこと、ありませんか? それ、もしかしたらカビかもしれません。 せっかく大事にしていた洋服に、カビが生えるなんて嫌 […]

布団のカビは「エタノール」で殺菌!カバーや床のカビも徹底的に除去

敷布団やマットレス、久しぶりに干してみようかな~と、ふと裏を見てみると……。 ん?なんか黒いポツポツがある。 ナニコレ。 ってなっている方。 劣化かな、仕方ない。 とか言って、放置しないでくださいね? その黒いポツポツ、 […]

洗濯物の部屋干しで臭わない8つのポイントと便利なグッズを一挙紹介

雨が続く梅雨の時期など、太陽の下で洗濯物を干せないときってありますよね。 そんなときは部屋干しをする方が多いと思います。 でも部屋干しだと洗濯物は乾きにくいし、ちゃんと乾かしたはずなのに生乾きの臭いがするということもあり […]

柔軟剤の使い方ひとつで香る香りも香らない!?入れるタイミングが命

いつもなんとなく使っている柔軟剤。 柔軟剤を使うと、手触りがふわふわになって気持ちがいいし、いい香りもしていいことばかりだな。なんて思っていませんか? もちろん、柔軟剤にはいいところも沢山あります。一方で、デメリットもあ […]

振袖のたたみ方を手順写真つきで解説!帯や草履のお手入れも忘れずに

憧れの晴れ着、振袖。 成人式のときに振袖を着る女性はとても多いですよね。 また、成人式だけでなく、結婚式の花嫁さんが着たり、結婚式に参列する人が着たりもする、特別な礼装です。 大切な振袖だから、シワにならないようにきちん […]

靴磨きのコツを大公開!職人だけが知る革靴のお手入れ方法を徹底取材

お洒落は足元から、なんてよく言いますよね。 一生、大切にしたいと思っている革靴を、お持ちの方も多いはず。 ですが、せっかくの素敵な革靴も、お手入れができていなかったら台無しです。 よい革靴は、きちんと靴磨きをして、いつで […]

カバン修理の職人が内袋を交換!ベタベタなグッチのバッグが完全復活

みなさんの家にも、1つくらいありませんか? 傷が入ったり、糸がほつれたりして傷んだカバン。 久しぶりに使おうと思って取り出してみたら、劣化してしまっていたカバン。 このまま使うのもみっともないし、捨てちゃおうかな……。 […]

靴底のかかとのゴムを、靴修理の職人さんが自然に馴染ませて直した話

気づいたら靴底のかかと部分がすり減っていた……。 ヒールから金属が見えて、歩くとカツカツ音が鳴るようになってしまった……。 そんな経験は、ありませんか? 大切な靴は、かかとが削れてしまっても修理して履き続けたいもの。 で […]

靴底がはがれたときの補修には、接着剤とネジを使うがコスパ最強説!

  歩いていたら、なんだか足に違和感が。 ちょっと靴の裏を見てみたら、靴底がベロンとはがれていた… そんな経験、ありませんか? 意外とあるのが、靴底はがれ。 でも、お気に入りの靴なら靴底がはがれても直して履き続 […]

鞄のクリーニング・色補修を取材!カビ・シミ・角の傷が消え去った日

みなさん、クローゼットの中に少し汚れていたり、色がはげていたりする鞄はありませんか? そういう鞄って、使う気にもならないし、でも捨てる勇気もなく、ずっと置いたままにしていることが多いと思います。 そのままクローゼットの肥 […]

鏡面磨きを職人に頼んだら15年物の革靴が潤いと輝きを取り戻した話

上品に光る、革靴。 思わず目を奪われるくらい、魅力的ですよね。 革靴をまるで鏡のように光らせる鏡面磨きに、憧れのある方も多いはず。 今回は、革靴のお手入れの道なんと20年以上のプロに、鏡面磨きの方法を取材してきました! […]

裾上げのやり方をズボンの種類別に解説!丈を決めるポイントも伝授!

もうちょっと裾が短かったら、このズボンは完璧なのになあ。 そんなお悩みはありませんか? そんなときに便利なのが「裾上げ」。 でも洋服屋さんで頼むと時間がかかってしまいます。取りに行くのも面倒臭いですよね。 だから、自分で […]

革の鞄のお手入れは、油分の補給!傷には水拭き、汚れには消しゴム!

さて、今回は革製品の中でも鞄についてのお話。 鞄って、体の一番外側にあることが多いせいか、傷が付きやすいものです。 気付かないうちに擦ってたりしますよね。 革は丈夫ですが、表面の傷に対しては案外弱いのですよ。 そこで、な […]

ネックレスの修理はチェーン切れがネックです?部品の種類ごとに解説

ネックレスって、ささいなことで簡単に切れてしまうもの。 洋服を脱ぐときにうっかり引っ掛けてしまったり、ネックレスをつけたまま寝て、起きたら切れていた、なんてことも。 特に小さなお子さんがいると、お子さんがネックレスを引っ […]

腕時計のお手入れは、ベルトの汚れをほっとけいないから浸けとけい!

ふと腕を見ると、そこにいてくれる。 そんな安心する存在、腕時計。 いつでも時間を教えてくれる時計は、便利なのと同時にファッションアイテムでもあります。 きれいなお気に入りの時計を身につけていたら、気分がいいですよね。 逆 […]