■万年筆は3ヶ月に1回は水洗いしてお手入れを
■3種類の万年筆、それぞれのお手入れ方法を紹介
■万年筆はお手入れして、書きやすく、見た目も良く、長く大切に使いましょう
万年筆を愛用中の方も、買おうかどうか迷っている方も、知らねばならない万年筆のお手入れ方法。
万年筆の手入れと聞くと、なんだかめんどくさそうな感じがしませんか?
でも実はとっても簡単なんです。必要なのは、水道水だけ!
今回は、そんな万年筆のお手入れ方法を紹介します。
万年筆のお手入れは、水洗いが基本です。
まずは、洗うタイミングを確認しましょう。
・インクの出が悪い
インクの出が悪いときは、中でインクが固まっている可能性があります。
しっかり水洗いをしましょう。
・インクの色を変えたい
インクの色を変えたい時にも、水洗いをしましょう。
そのまま使うと、色が混ざってしまいます。
・1ヶ月以上、使わずに保管しておきたい
使わない期間が長いと、万年筆の内部でインクが固まってしまいます。
あらかじめ使わないことがわかっている場合には、先に洗っておくと安心です。
この3つのようなきっかけがなくとも、3ヶ月に1回は、水洗いをしましょう。
定期的なメンテナンスが万年筆を長く愛用するコツです。
実際に、万年筆の洗い方を確認しましょう。
万年筆をカートリッジ式、コンバータ式、吸入式の大きく3つに分け、それぞれ洗い方を紹介します。
カートリッジ式は、万年筆のインクにカートリッジを使えるものです。使い捨てのインクを使用できるとイメージするとわかりやすいですね。
用意するもの
・深めのコップ
・水道水(もしくはぬるま湯)
・柔らかい布(もしくはティッシュ)
手 順
1. カートリッジを外す
胴軸を回して外し、さらにカートリッジも外します。
ペン先と大先だけの状態にして、その部分を洗っていきます。
2. コップに水道水を入れ、ペン先を浸す
コップは、インクがついても良いものを使いましょう。
コップには水道水を多めにためます。
そこにゆっくりと万年筆の先をを浸します。ペン先から水につけていきましょう。
3. 一晩ほど放置しておく
ペン先から大先まで水につけた状態で、一晩放置しましょう。
もし、インクの色が濃く出てしまうようであれば、水を替えても良いですね。
4. 流水で、インクを流す
一晩経ったら、蛇口からの水道水を首からペン先まで通して、インクを流します。インクが通る部分に水を通して洗う感じです。
だいたい色がでなくなるまで続けましょう。
5. 柔らかい布で水分を拭き取る
最後に柔らかい布で、水気を拭き取ります。ティッシュでも構いません。白い布などを使うと、インクが本当に落ちたのかの確認になるため、おすすめです。
インクの色を変えたいだけの場合などは、一晩おく必要はありません。取り外したペン先から大先を流水でインクを流して、お手入完了です。
コンバーター式は、瓶のインクを吸入するのに使います。吸入式と違って、コンバーターは万年筆本体から取り外すことができます。
用意するもの
・深めのコップ
・水道水
・柔らかい布(もしくはティッシュ)
手 順
1. 水道水をコップにためる
コップの半分より上まで、水をためます。
2. 万年筆の首にコンバーターがついた状態で、水を出し入れして洗う
コンバーターの中にインクが残らないよう、5~6回ほど水を出し入れして洗います。
3. コンバーターを外し、ペン先から大先をコップの中の水道水に浸す
ここからはカートリッジ式の万年筆と同じ手順で洗うことができます。
コップの中にペン先を入れるときはゆっくり作業しましょう。
ペン先に強い衝撃があると、故障の原因になってしまいます。
4. 一晩ほどつけておいた後、流水で流す
蛇口から流れる水道水をそのまま使って、インクを流します。
POINT
水は勢いよく出さず、弱い水流で使いましょう。
5. 柔らかい布で水を拭き取る
最後に水を拭き取ります。柔らかい布や、ティッシュを使ってください。
インクが残っていないか、確かめることもポイントです、
吸入式の万年筆は、万年筆本体でインクを吸引して使います。
洗う時にも取り外しができません。
用意するもの
・コップ
・水道水
・柔らかい布(もしくはティッシュ)
手 順
1. コップに水をためる
まずは、コップに水をためます。多めにためておきましょう。
2. 水の吸引と排出を繰り返す
インクを吸引する要領で、水を吸引したり排出したりして、インクを流していきます。
コップの水を替えながら、色が出なくなるまで繰り返しましょう。
3. 布で水気を拭き取る
柔らかい布を使って、ペン先の水気を拭き取ります。
4. 1日ほど乾燥させる
洗った直後にインクを入れると、中の水によって色が薄くなってしまいます。
1日ほど、そのまま置いて内部を乾かしましょう。
吸引式は、水道水を中に流すことができないので、お手入れも少し手間がかかります。
しかし、コップのなかにインクが流れ出る様子は、とても綺麗です。
ぜひ楽しみながらお手入れしてみてください。
「正しい方法で洗浄したのに、インクの出が悪いまま」
そんな時には、ペン先やペン芯の交換を検討しましょう。
初めてでも迷わずできる、ペン先、ペン芯の交換法をご紹介いたします。
万年筆はその名の通り、長期間愛用できるアイテム。
ですが、使用歴が20年、30年と長くなってくると、摩耗や変形によってペン先が傷つく場合があります。
万年筆の種類、メーカーによって多少の差はありますが、基本のペン先交換方法は同じです。正しい方法を覚えて、なめらかな書き心地を取り戻しましょう。
水洗いと同じ手順で、万年筆内に残っておりインクを抜きましょう。
しっかり乾燥させてから、手順2にうつりましょう。
テーブルにいらない布などを敷き、古いペン先を取り外しましょう。
右利きの場合、左手で万年筆の銅部分を持ち、右手でペン先を反時計回りに回転させると、かんたんに外せます。
(そのまま引き抜くだけのタイプのあります。事前に確認しておきましょう)
手順2と逆の手順で、新しいペン先をつけます。
自分で上手にできない場合は、万年筆を取り扱っている専門店で交換をお願いしましょう。
ペン先の中には、心臓部分とも呼ばれるペン芯があります。
見た目はシンプルですが、ペン芯があることで、ペン先へスムーズにインクを送ることができる、重要なパーツです。
水洗いをしても、ペン先の交換をしても、書き心地が戻らない場合は、ペン芯の交換を検討してみましょう。
ペン芯交換の場合も、事前にインクを抜いておきます。
方法は、水洗いを行う場合と同じです。
ペン先交換の時と同じくいらない布を敷いた上で、反時計回り、もしくはそのまま引き抜く方法で、ペン先を取り外します。
ペン先からペン芯を取り外し、新しいものに交換します。
この時、ペン芯のスリット部分を傷つけたり、折ってしまったりに、注意しましょう。
ペン芯と取り外す前に、ペン芯が置かれていた場所を確認しておくと、戻す時にスムーズです。
ペン芯とペン先を合わせて、万年筆本体に戻します。
手順3で確認しておいた、戻すべき場所へペン芯を置きましょう。
ペン芯、ペン先ともに、非常に繊細な部分です。
少しでも難しいと感じたら、大切な万年筆を長く使うためにも、プロへお願いしましょう。
万年筆は、毎日使うことが大切です。
それがいちばんの、お手入れ方法といえます。
また、10分以上書かない時にはしっかりキャップを閉める。
直射日光に当てないなどの注意点があります。
万年筆は、その名の通り大切に使えば、長く使える文房具です。
大切に使って、楽しみましょう。
万年筆は、使っているうちに手に馴染み、時間が経つにつれて成長していきます。
その書き心地から、筆記用具の王様と言われることもあります。
万年筆は、メンテナンスすることで、書きやすくなるだけでなく、見た目も良くなります。
面倒くさがらず、ぜひ実践してみてくださいね。