急いでファスナーを閉めたら動かなくなった……なんて経験、ありませんか?『ガチッ』なんて音を出した後、うんともすんとも言わなくなることが結構あるんですよね。
ファスナーの修理は頼むとなると洋服は2,000円~ほど、鞄は10,000円~20,000円ほどかかってしまうケースもあるため、極力は自分で直したいところ。
さて、こういったファスナーの故障ですが、大抵は曲がってしまった部品が原因なのです。なので大抵の場合はペンチを使えば自分で直せるのですが…っと、詳しい話は本文でしましょうか。
ということで今回はファスナーの故障を
の4つの状態に分けて、それぞれの解決策を紹介します!
目次
ファスナーを閉めたつもりなのに「外れてしまう」というのは、どのようなことか理解するために、まずはファスナーの仕組みを知りましょう!まずは上の図にある2つの用語の解説をします。
エレメントを
スライダーが嚙みあわせるのがファスナーです。つまり「噛み合ってない」から「外れる」のです。仕組みがわかれば対処法も見えてきます。そして噛み合わなくて発生する現象は大きく4つあります。
それぞれに対処法があるので、当てはまるものを見ていきましょう。
まずは、ファスナーが閉めても開いてしまう場合です。「あれっ、閉めたはずなのに、両側から開いてる!?」なんてことありますよね。
(下図のような感じ)
こうなったらエレメントの不具合とスライダーの不具合、2つの理由を疑いましょう。エレメントとスライダー、覚えましたか?
まず原因を疑うのはエレメントです。いくらスライダーが好調でもエレメントが不規則では噛み合うことはないからです。
エレメントは端から端まで全ての歯が「上下左右」しっかりと噛み合って初めて機能します。そのため、1つでもエレメントが「欠けている」という状態にあれば、それは修復不可能です。ファスナーごと全て取り替えましょう。
次に「上下左右」が揃っていなければいけないので、エレメントの列を上から見て列を乱しているものがいればペンチなどを使って正しく直してあげましょう!
揃っていない状態で噛ませると、最初からズレた噛み方になるので、少しの力でその部分が外れ、ファスナー全体が総崩れ…となってしまいます。エレメントには問題がないようだったら、次にスライダーを疑いましょう。
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スライダーは使いやすいように軽い金属で作られています。そのため、布地を噛んだり、何度も繰り返し使っていたりすると、金属が緩く広がり、エレメントを引き合わせる力がなくなってきます。
こうして、エレメントがしっかりと噛み合わさらず、スライダーを抜けて出てきた時にはもうファスナーは開いてしまっている…なんてことが起こるのです。
そのような時の対処法はスライダーを締め直すこと。ではどこをどうやって締めればいいのでしょうか?まず、「どこ」を締めるか。スライダーには「入口」と「出口」があります。
そのため、そもそもスライダーにエレメントが入らない(ないと思いますが)場合は、入口も閉めた方が良いのですが、そうでなければ「出口」だけを閉めましょう!
どこを締めるか確認したい方は下の写真を参考にしてみてください!
「どのように」ですが、先ほども言った通りファスナーは軽い金属で作られているため、変形しやすくなっています。
ラジオペンチを使って直せるのですが、力をかけすぎると締まり過ぎてスライダーが動かなくなることもあるので、硬さをこまめに確認しながら作業を行ってください。
もしかしたらこちらの方を経験した方のほうが多いかも、というくらいメジャーなアクシデントですね。
布を噛んでしまった場合、無茶苦茶に引っ張ってみてもビクともしないことがほとんど。動いたとしてもそれはファスナーが破壊された時ですね。
無茶に動かすのはメリットが1つもないので、正しい方法をここで学んでおきましょう!柔らかい生地と硬い生地の2つの場合に分けて解決法をご紹介します!
通常の生地はほとんどこの方法で生地を取り出すことができます。生地をゆっくりと横(ファスナーと水平方向)に伸ばすように引っ張ります(下図)。
水平方向を意識しないで上下になんてしてしまうともっと生地が食い込んでいってしまうので、必ず「水平方向」を意識しましょう!
硬い生地とは、ジーンズを思い浮かべてもらえると分かりやすいと思います!あのような生地は水平にやっても隙間が小さすぎて手で引き出すのには限界があります。なので道具を使って「隙間」を作りましょう!
オススメは作業に入る前にドライヤーなどを当てて温めておくことです。ファスナーが少し柔らかくなって動かしやすくなります。
そのあと定規・マイナスドライバーなど、薄く平べったい、ある程度の硬さがあるものを生地とファスナーの間に挟んで隙間をつくって、そこから生地を取り出しましょう!
上の方法でやっても食い込みがうまく取れにくい、なんてことがあったらそれはファスナーが古くなり、錆びてしまっているのかもしれません…。
ミシン油、サラダ油、どちらでも良いので油を2〜3滴落としてあげましょう。そしてもう一度生地を取り出してみましょう!
次に、ファスナーに見られる別のアクシデントが、スライダーが突然動かなくなるという事象です。これは2つ対処法があります。
まず最初は、「逆方向に動かしてみる」です。えっ、と思った方もいると思いますが、これが意外と功を奏することが多いのです。無理に動かそうとするのではなく、一度逆方向に戻してみてください!
2つ目は潤滑油を使って滑りを良くする方法です!先ほどの章でも書いた通り、長く使ったファスナーは錆びてしまっていることがあります。
なので潤滑油なんですが、家庭にない方が多いと思うので、リップクリームが代替品になることを紹介します!
方法は簡単、綿棒にリップクリームを塗りつけ、両側のエレメントたちにつけるだけ!リップクリーム以外にワセリン・固形石鹸も代替品として使えます!
スライダーが両方にエレメントにかかっているのが基本状態ですが、スライダーが緩くなってしまい、片方のエレメントから外れてしまった、ということもありますよね。
ここでは、スライダーを広げる方法と止め金具を外す方法の2つをご紹介します!
高価でないファスナーであれば、ドライヤーなどで温めてからマイナスドライバーでスライダーを広げ、エレメントを噛ませてペンチでしめる、という少し力技ですが効果的な方法があります。
ただし、やはり広げすぎて金属が弱ってしまったり、広げすぎて緩くなってしまったり、という可能性もないわけではありませんのでご注意を。
最終手段は「止め金具を外す」です。止め金具というのは、スライダーが抜け落ちないように止めているエレメントの一番下の部分です。
この部分をペンチで外しましょう。ものによっては縫い込まれているので縫製を解いてから外さなければならないものもあります。
止め金具を外せば普段ファスナーを使っているのと同様に下から噛ませることができるので、普通に下から通しましょう。スライダーを噛ませて止め金具をペンチなどで付け直せば完了です!
自分で直す方法は分かりましたが、プロは修理や交換に出すべき基準をどのように考えているのか、今回はカバンのファスナーを交換するべき基準を聞いてみました!
なるほど、、共通して言えるのは見た目で壊れている部分を目視できれば、それが修理をお願いすべき基準だということですね!
特に大事なカバンなどであればプロにお願いするので間違いなさそうですね。
ご紹介させていただいた方法で直りはするのですが、ペンチやマイナスドライバーなどを使って、金属を広げたり、、となると壊さないかな?安全にできるかな?ちょっと怖いなと思われる方もいらっしゃることだと思います。
そういった場合はプロにお願いするのがオススメ。洋服の場合、お直しのメニューの中にファスナー交換があります。
スラックスやスカートのファスナーは2,000円〜で交換してもらえますよ!1着買い換えるよりはだいぶお得ですね。スーツケースや鞄のファスナーの修理は、洋服と比べて高くなります。
鞄のファスナーの場合、スライダーだけの交換はおおよそ2,000円くらい、ファスナー全体の交換となると1箇所10,000円〜20,000円くらいだと言われています。
ファスナー代の修理は、ファスナー代の他に人件費がかかってしまうので少し値段が高くなってしまいますが、大切なもの、効果なものはお手入れも兼ねて修理屋さんにお任せするのもオススメですよ!
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これまでファスナーの修理方法を解説してきましたが、ファスナーとチャック、ジッパー?どれがどれだかわからなくて混乱してしまうこともありますよね。そこでおまけとしてその違いをまとめてみました!
それがこちら。
実はどれも同じものを指しており、呼び方が異なるのは地域による差なのですね。個人的に「チャック」と呼ぶことが多かった理由も、日本人だからなのかもしれません。
豆知識として、覚えておいて損はありませんよ。
どうでしょう、直りそうですか?どうしようもなさそうなら、修理するような場所に出して付けなおして貰いましょうね。
ペンチで曲げるーと聞くと、経験がない方は不安に思うでしょう。でも、かなり簡単だったりします。こう、ぐいっと……言葉で説明するの無理ですねこれ。
実際に試してみる方が早いでしょうね。なに、もともと壊れているのです。安心してやっちゃいましょう。