HOME

更新日 :2020年06月26日

アクリル素材は縮むより伸びやすい!?洗濯よりも干し方を工夫すべし

この記事をシェアする FaceBook X LINE Pinterest

冬の寒さをしのぐニットやセーター。
老若男女問わず幅広い世代から人気を集めており、冬の寒さを耐え抜くアイテムとして欠かせすことのできない存在です。

そんな冬の救世主的存在とも言えるニットの多くは、アクリル素材が使用されています。主に、靴下、手袋、カーディガン、マフラー、ニット帽などのいわゆる冬物素材。

一般的に、セーターやニットなどのデリケートな衣類は、自宅で洗濯すると型崩れしたり縮んでしまったりする心配があります。そうした中、衣類の質感を守りながら自宅の洗濯機で洗える方法があるのです。その具体的な方法と気をつけるべきポイントを詳しくご紹介しましょう。

アクリルは「縮むよりも伸びやすい」

アクリル素材かもしれない服

セーター、ニット、手袋、ニット帽、靴下、マフラー、カーディガン、手袋、カットソーなど様々な衣類に含まれているアクリル。他にも、毛布、カーペット、ぬいぐるみなど、衣類だけでなく寝具や玩具、日用雑貨に至るまで、とても幅広いジャンルで活躍しています。
どんな生地なのでしょうか。

そもそもアクリルとは、ナイロンやポリエステルに並ぶ3大合成繊維のひとつで、アクリロニトリルという石油が原料となっています。
衣類にも使われていますが、アクリルねんどやアクリル絵の具といった画材でよく聞く方も多いかもしれません。そちらは「樹脂」なのですが原料は同じです。

アクリルの特徴は、高い弾性回復力(もとの形に戻る力)と、ふんわり柔らかな着心地。カビや害虫に強いので、何年も長く着続けられるよさもあります。さらに、シワになりにくい上に、洗濯による型崩れが少なく縮みにくいという素晴らしい特徴を秘めているのです。合成繊維の中ではもっともウール(羊毛)に近い質感で、高級感のある感じが人気ですね。

ただ一方で、吸水・吸湿性に劣り、汗でべたつきやすい、毛玉ができやすい、静電気が発生しやすいなどのデメリットも存在します。
洗濯をする上では「縮むよりも伸びやすい素材」というところを意識しましょう。

アクリル素材かどうかを見分ける方法

双子を見分けるにはもってこいの色違いの靴

では、あなたが持っている衣類にアクリル素材が使われているかどうかは、どのようにして見分ければいいのでしょうか?

答えはカンタン。
洗濯表示ラベルを見ることです。

多くの衣類には、服の内側やポケットの中などに、洗濯表示ラベルがついています。そのラベルを見ると、アクリル○%、ナイロン○%、ポリウレタン○%、毛○%と細かく書かれています。衣類を洗濯する際に、アクリルの割合がどのくらいなのか、しっかり確認しておきましょう。

というのは、先ほどもお話しましたが、アクリルは耐久性に弱く毛玉ができやすいという性質があります。洗濯機でガンガン回し続けていたら、衣類が傷みやすくなってしまうのです。
アクリルの比率が低い物は普通に洗濯でも悪くありませんが、特に注意しなければならないのはアクリル100%のセーターやストールです。
そういった衣類は普通に洗濯すると伸びてしまう危険性が高いです。

では、どのように洗えば繊維を傷めず、きれいに汚れを落とせるのでしょうか?

アクリル素材の洗濯方法

水が溜まっている池

それでは、アクリル素材の衣類の、正しい洗い方を紹介します。まだまだ寒い日が続き、ニットを着る機会は多いので、洗濯の際はこのやり方を参考にしてみてくださいね。

用意するもの
・アクリル素材の洗濯物
・洗濯ネット
・おしゃれ着用洗濯洗剤
手順
1
洗濯物を裏返す

洗濯物を裏返しにします。汗や皮脂汚れは内側についているので、裏返して洗濯することで汚れを落としやすくなります。

2
洗濯ネットに入れる

裏返した洗濯物を軽く畳んだら、洗濯ネットの中に入れます。
この時、ネットから衣類が飛び出さないよう、ファスナーはきちんと締めてください。

3
洗濯機に入れる

洗濯機の中に水を張る前に、ネットごと洗濯機の中にインします。

4
手洗いコース

洗濯機の電源を入れたら「手洗いコース」を選択し、洗濯をスタート。流水が弱い手洗いコースなら、衣類同士の摩擦を防いで、毛玉や繊維のダメージを軽減できます。

5
おしゃれ着用洗剤を投入

おしゃれ着洗い用の洗濯洗剤を入れてふたを閉め、そのまま終わるまで待ちましょう。

6
逆さに干す

セーターやニット、カットソーの真ん中部分で折り返して、逆さに干しましょう。伸縮性があり水分の重さで伸びやすいため、肩を引っ掛けて干すと型崩れしやすくなります。
毛穴から分泌された皮脂や汗は、衣類の内側に付着しています。裏返すことで汚れが落ちやすくなり、臭い予防にもなるのです。

また、洗濯ネットに入れることで他の衣類との摩擦を防いで、毛玉を防止にもつながります。最後にハンガーに干すときは、肩を引っ掛けるのではなくて衣類の真ん中を折り返すといいでしょう。これにより、型崩れしにくくなるからです。

POINT
アクリル素材は裏返してネットに入れて洗濯機に。
洗う際はおしゃれ着洗剤で「手洗いコース」を利用。
干すときは衣類の真ん中を折り返す形で伸びるのを防ぎましょう。

アクリル素材の衣類を手洗いする方法

石鹸を遣ったら出てくるシャボン玉

先ほどは洗濯機での洗い方をご紹介しましたが、ここでは手洗いについてのやり方もお教えします。
アクリルの含有量が低いものは良くても、アクリル100%の衣類などはさすがに洗濯機だと心配ですよね。
そういった場合は優しく手洗いをしましょう。

用意するもの
・ゴム手袋
・洗濯石鹸 or 粉洗剤
・洗面器(洗面台でも代用可能)
手順
1
温度を設定

給湯温度は30〜40℃に設定します。40℃を越えると、衣類の繊維が傷みやすくなるからです。

2
洗面器にお湯を入れる

ゴム手袋をはめ、洗面器にお湯と粉洗剤(大さじ1カップ分)を入れてよくあわ立てます。

今回は、洗面器がなかったので洗面台で洗いました。

3
洗う

アクリル素材の衣類を裏返しにしてからたたみ、【2】に入れて押し洗いします。

4
絞る

【3】で洗った衣類をタオルでくるみ、優しく絞ります。力を入れすぎると繊維がよれてしまうので、型崩れの原因となります。

5
すすぐ

今度は洗面台にお湯(30〜40℃)をため、押し当てるようにしてすすぎます。水を取り替えながら2〜3回繰り返してください。

6
脱水

【4】と同様にタオルにくるんで水気をとったら、洗濯ネットに入れます。そのまま洗濯機に入れて脱水5分。アクリルは伸びやすいので脱水はそれほど長くしないほうが良いのです。

7
干す

セーターやニット、カットソーの真ん中部分を折り返し、逆さにして干しましょう。

POINT
使うお湯は必ず40度以下!
洗面器で押し洗い。すすぎも押し当てるように2、3回。
タオルにくるんで水気をとったら洗濯機で脱水し、伸びないように折り返して干しましょう

繰り返しになりますが、温度が高いとその分衣類の繊維が傷みやすくなり、状態が悪くなってしまう場合があるからです。

もしひどいシミが目立つ場合は、その部分にだけ酸素系漂白剤をつけると色合いをキープしたまま汚れを落としてくれます。

アクリル素材の衣類に毛玉がついたら?

洗濯方法については分かって頂けたと思いますが、気になる問題がもう一つ。
そう、毛玉についてです。

冒頭から「毛玉ができやすい」と繰り返していましたよね?
それだけアクリル素材と関係の深い問題点なのです。

ではどうして毛玉ができてしまうのか。
どうすれば防ぐことができるのか。

この辺りについても詳しく解説していきましょう。
原因さえ押さえておけば、未然に防ぐことだってできますよ。

どうして毛玉ができるの?

ここからは、毛玉ができる原因とアクリル素材の毛玉の特徴をみていきましょう!

毛玉の原因は摩擦!

主な原因は摩擦です。

どこかに擦れたり、服同士が擦れていくうちに繊維は少しずつ絡まっていきます。
そして玉のようにまとまり、出来上がるのが毛玉という訳です。
意外とシンプルですよね。

なので意識してみると、袖などのよく擦れる部分にできやすいことが分かります。

部屋着なんかは寝っ転がることが多いので、服全体にできてしまうのも納得です。

アクリル素材の毛玉

ウールなどの毛玉は、ある程度の大きさになるとちぎれてしまいます。

なので毛玉ができやすい反面、いつの間にか取れているなんてことも。

一方、アクリル素材は繊維が強く、毛玉になってもなかなかちぎれない特徴があります。

そのため他の素材より、毛玉が気になるのかもしれませんね。

素材の特徴を知っていることで、洋服の選び方も変わってきそうです。

アクリルと毛玉は切っても切れない仲なので、どうしても避けたい方は素材の確認もお忘れなく。

毛玉を防ぐのが大切

とはいえ、毛玉を防ぐ方法はたくさんあります。

今回はその中でも簡単にできる方法をピックアップしましたので参考にしてみて下さい。

ブラッシング

脱いだ後は軽くブラッシングをして、毛並みを整えてあげましょう。

繊維の絡まりが原因なので、ブラシなどで整えてあげることは効果的なんです。

イメージとしては髪と同じですね。
日々お手入れをしてあげることで絡まりづらくなり、毛玉を防いでくれます。

洗濯方法

服同士が擦れるのは、何も着ている時だけではありません。

洗濯機で洗っている時も、激しく服同士が擦れている状態です。

なので洗濯方法を改善するのも効果的。
具体的には以下のことに注意しましょう。

・ドライクリーニングで洗う
・洗濯ネットを活用する
・洗濯時間を短くする

中でもドライクリーニングを使ったことがない方は多いのでは?

簡単に言うと「やさしく洗うコース」なので、これを機に使ってみてはいかがでしょうか!

おしゃれ着などでも使えるコースです。

そもそも作らないことが大切

毛玉は服の繊維が集まってできた物。

それを取るということは、服をちぎっているのと同じことです。

場所によってはそこだけ薄くなってしまうこともあるので、作らないことが最も大切。

上で紹介した方法を取り入れて、大切な洋服を少しでも長持ちさせましょう!

アクリルの洗濯でよくある2つの疑問

アクリル素材の洋服を、正しく洗う方法が分かりました。
ですが……まだ気になる疑問が残っていませんか?

そうです!
アクリル素材と乾燥機やアイロンとの相性です。

「アクリルの衣類は乾燥機で乾かしていい?」
「アクリル衣類のシワはアイロンでのばしてOK?」
洗濯法と合わせて、これらの問題も解決しちゃいましょう!

乾燥機は使っていいの?上手な干し方は?

アクリル衣類を洗濯した後、忙しい人の場合は特に、
「乾燥機で乾かせないかな?」
と考えるはず。

ですが、アクリルは熱に弱い素材として知られています。
高温になる乾燥機で乾かしてしまった場合、伸びてしまうだけでなく、衣類の形が変わってしまうケースもあるため、注意が必要です。

「それじゃあどうやって乾かしたらいいの?」
そう思いますよね。

先ほど真ん中部分を折りたたみ、干す方法を紹介しましたが、それ以外にも“平干し”と言う方法もあります。

ホームセンターや通販サイトで販売されている平干しネットを使えば、その上にアクリル衣類を乗せるだけで乾燥でき便利ですよ!

「平干しネットはかさばるからちょっと……」
という場合は、ピンチハンガーや洗濯物カゴを利用してみましょう。
ピンチハンバーの上に寝かせるようにアクリル衣類を乗せたり、買い物かごタイプの洗濯かごを逆さにして上に置いたりすれば、楽に乾燥できます。

ピンチハンガーや洗濯物カゴを使用する場合、洗濯物がそのままの形でキープできるなら良いのですが、
「腕部分や裾部分がはみ出て、垂れ下がってしまう……」
という場合は、その部分を折り上げ、伸びを防止してあげましょう。

アイロンがけはOK?

アクリル素材の衣類を見ていると、シワが少ないことに気付きます。
綿などと比較すると、アクリル素材はシワがつきにくいため、アクリルの服を愛用している方も多いでしょう。

それでも、干し方や保管方法によっては、やはりシワができてしまいます。
このシワは、アイロンで伸ばして大丈夫なのでしょうか?

結論からいうと、アクリル衣類のアイロンがけは可能です。
ただし、必ず当て布を用意し、「低」に設定した上でアイロンするようにしましょう。

また、いくら低温であってもスチーム機能は使用厳禁です!
アクリルの風合いが失われ、ペラペラになってしまいます。

シワの程度がひどい場合は、スチーム機能を使う場合もありますが、衣類に直接アイロンを当てないようにしましょう。服から少し話した位置で、スチームの蒸気だけを届けるイメージで行うのが正解です。

まとめ

セーター、ニット、手袋、カットソー、靴下、ニット帽などのアクリル素材を使用した衣類は、型崩れしにくい、縮みにくい、摩擦に強いという特徴があります。

しかし、吸水性・吸湿性に弱く汗でべたつきやすい、静電気が起きやすいというデメリットも存在。メリットを最大限に引き出すためには、裏返してから洗う、洗濯ネットに入れる、真ん中で折り返して逆さに干す、などの気遣いと心遣いが必要なのかもしれませんね。