■麻は吸湿性と耐久性が◎。シワになりやすいというデメリットも
■麻(リネン)は裏返して洗濯し、平干しで干す
■アイロンをかけるときは半乾きの状態で、仕舞うのは完全に乾いてから
通気性がよく吸水性にすぐれた麻(リネン)。
これから暑くなる夏場に向けて、重宝する素材のひとつです。
しかし、洗濯をするとしわになりやすくよれたり型崩れしやすいという難点も。
そこで今回は、麻(リネン)の状態を保つ手洗いの方法や干し方、アイロンのかけ方についてご紹介します。
目次
麻とは、数種類の植物から作られた繊維の総称を言います。大きく分けると、
・リネン・・・アマ科の植物
・ラミー・・・イラクサ科の植物
・ヘンプ・・・アサ科の植物
このような3種類があります。
生えている植物の姿や形はバラバラですが、通気性がよく吸水性にすぐれているという特徴が共通しています。
麻(リネン)は、吸湿性と耐久性が非常に高く、繊維が伸びにくいという特徴があります。
また、肌に触れたときにひんやりとした冷たさを感じられるため、気温が上昇する夏向きの素材だと言えるでしょう。
さらに、麻(リネン)は吸収した水分を外に逃がす特性があるため、高温多湿な日本の気候にもっとも適しています。
しかし、着用や洗濯を頻繁に繰り返すことにより、しわになりやすい、縮みやすいというデメリットがあります。濃い色合いの麻素材を着用した場合、摩擦や汗によって色移りしてしまうことも。アイロンがけもコツが必要となるため、手入れが難しいというマイナスの側面が潜んでいるんです。
麻(リネン)を使った衣類には、シャツ、ブラウス、ストール、パンツ、スカート、帽子、カットソー、Tシャツ、靴下などがあります。
気温が上がり汗をかきやすくなる春先や夏場に、一枚でサラリと着られるシャツやブラウスが多く販売されています。
そんな麻(リネン)ですが、ちょっと癖のある素材。
先程お話した色移りは、その最たるものですね。
洗濯の仕方へ移る前に、麻(リネン)の注意点をしっかりと押さえておきましょう!
問題を未然に防ぐことができれば、魅力だけを残せます。
耐久性も自慢の素材ですから、最後まで大切にケアして着たいですよね♪
同じ麻(リネン)でも、洗えるものと洗えないものが在ります。
見分け方としては、安定の洗濯表示ですね。
「水洗い不可」の表示がある場合は、クリーニング店にお任せしましょう。
ドライクリーニングという水を使わない方法で、しっかりと洗濯してくれます。
正確に言うと、洗えない訳ではありません。
生地の性質上、家で洗うと繊維が傷みやすいなど不都合な点が多いというだけの話です。
実際、縮みや色移りは対応が難しいですからね。
しかし、負担の少ない手洗いで済ませている方はいます。
部分洗い程度であれば、家で済ませてしまうのもアリでしょう。
麻(リネン)はその性質上、長時間の洗濯には向いていません。
形が崩れたり色が落ちたりと、汚れを落とす以上にデメリットが多いのです。
手洗いの場合も同じですが、基本的に短時間、手短に済ませるのがベスト。
あまりにもヒドイ汚れは、やはりクリーニングが無難ですね。
最も気を付けなければならないのが、この色落ちです。
より詳しく理解できるよう、その原因についても解説します。
色移りにも関係する話なので、よく見ておきましょうね。
麻(リネン)は、もともと色が着きにくい素材です。
その為、無理に着色しようとしても定着せず、徐々に落ちてしまうのです。
特に色の濃い服、買ったばかりの服は色が落ちやすいですね。
この時期に他の衣類と洗ってしまうと、色移りにつながるので避けましょう!
ある程度落ち着くまでは、単独で洗うと安心です。
いきなり洗濯機で洗うのはリスクが大きいです。
まずは目立たないところで部分洗いをして、白い布を当ててみましょう。
この時、色が移っていれば即アウト。
単独洗い確定です。
何度か洗って馴染んできた服も、この方法で一度チェックしてみましょう!
色の落ちやすい麻(リネン)ですが、色落ち以外にも変化はあります。
それが汗や日光による変色です。
汗に含まれるさまざまな不純物が紫外線に反応し、色を変えてしまいます。
特に麻(リネン)は吸水性に優れた素材。
心当たりのある方は、色落ち以外の可能性も探ってみましょう!
それではまず、麻(リネン)の手洗い方法をご紹介します。
麻を手洗いするには、押し洗いとふり洗いの2つの方法があります。
まずは押し洗いの方法を解説します。
まず麻(リネン)素材の洋服は裏返しにたたみます。皮膚に直接触れている内側には、汗や皮脂よごれがついているからです。
洗面器に水をため、洗剤を1〜2滴垂らします。使う洗剤は、おしゃれ着用中性洗剤がおすすめです。
ゴム手袋を装着しましょう。水と洗濯製剤を入れた洗面器の中にたたんだ衣類を入れます。衣類をしっかりと水に浸してください。
20〜30回衣類に体重をかけて押したり持ち上げたりして、汚れを掻き出します。
たたんだ状態のまま衣類をネットに入れ、30秒間脱水をしてください。
洗面器に水だけをため、衣類をしっかりとすすいでください。洗面器の水が汚れてきたら、入れ替えて再度すすぎます。
すすぎ終わったらたたんだ状態のまま衣類をネットに入れ、再び30秒間脱水をかけて終了です。干し方については後ほど紹介します。
続いては、スカーフやブラウスなどをふり洗いする際の手順について紹介します。
「ふり洗い」とは、桶のなかで服の両端を持って、素早く振るように洗う手洗いの方法です。しゃぶしゃぶみたいなイメージですね。
ブラウスやシャツなどの衣類を洗う際は、裏返しにしましょう。
洗面器の中に洗濯洗剤1〜2滴と水を入れます。手が荒れる場合があるので、ゴム手袋をはめましょう。
衣類を洗面器にためた水の中に浸します。両端(肩)を掴んで、前後左右にふり洗いをします。
たたんだ状態のまま衣類をネットに入れ、30秒間脱水をしてください。
洗面器に水だけをため、衣類をしっかりとすすいでください。洗面器の水が汚れてきたら、入れ替えて再度すすぎます。
すすぎ終わったらたたんだ状態のまま衣類をネットに入れ、再び30秒間脱水をかけて完了です。
麻は洗濯機で洗濯する方法もあります。
襟や袖などの汗染み、汚れが目立つ部分に部分洗い用洗剤をスプレーします。もしくは、原液の液体洗剤を塗っておくと、汚れが落ちやすくなります。
衣類を裏返しにしてたたみ、洗濯ネットに入れます。肌に直接触れている衣類の内側は、タンパク汚れや皮脂汚れが付いてるのです。このとき、ボタンやファスナーはきちんと留めておきましょう。
衣類の表示に合わせてコースを選択し、洗濯機を回します。手洗いコースが安心です!脱水の時間になったら、時間を測り30秒経ってから衣類を取り出しましょう。脱水をしすぎるとしわになりやすいため、30秒くらいが理想です。
洗濯が終わったら干し方を見ていきましょう。
麻(リネン)を干す方法には、平干しとぬれ干しの2つあります。
平たい場所に洗濯物を広げて干す方法です。
脱水が終わったら洗濯ネットから衣類を取り出し、手で軽くしわを伸ばします。風通しの良いところに平たい台を用意し、上に洋服を置くだけです。
形を整えた状態で干すことができるため、型崩れが防止できます。
この平干しには、専用のネットが販売されていますが、ピンチハンガー・ハンガー・竿で代用することもできます。
ピンチハンガーとは、洗濯ばさみがたくさんついてるハンガーのことです。つまんだり挟んだりすることを英語でピンチ(pinch)というので、この名前がついたんですね、きっと。
一人暮らしを初めて、まだピンチハンガーを持っていない…。
というあなたには、こちらがおすすめ。ピンチハンガーはとっても便利なのでおすすめです。
おすすめの商品
こちらは、耐久性も◎で折りたためるタイプ。
使わないときは2つに折りたたんでしまっておきましょう。
ピンチハンガーの上を有効活用しましょう。外に干す時には、風に飛ばされないようにだけ注意してくださいね。服の下になった部分が乾くか心配な場合には、途中で裏返して干しましょう。
このハンガーは、クリーニングに出したジャケットが返ってくるときについてくるあれです。
まずはハンガー1本に、普段通り服をかけます。
服をかけたハンガーの前後に1本ずつハンガーを用意し、それぞれに裾と袖2つをかけます。空飛ぶアンパンマンみたいな格好にになります。
さおだけやが潰れない理由って、気になりますよね。
竿を使う方法はあまりおすすめできません。代用するにしても、ピンチハンガーの上や、ハンガーを使うことがおすすめです。
脱水をしないぬれ干しという方法。
これは、洗濯機で洗う方法、手洗いする方法、どちらでも使えるテクニックです。
すすぎが終わったら、平たい場所に衣類を置いて上から体重をかけ水分を飛ばします。衣類を絞るとしわの原因となるのでNGです。
続いて太めのハンガーにかけ、襟や袖、裾のしわを手で伸ばして風通しの良い場所に干してください。このぬれ干しによってしわや縮みを予防でき、アイロンがけがとても楽になります。
ただし、室内干しの場合は床にボトボト水が垂れてくるので、厚手のタオルを敷くなどして工夫をしましょう。
麻(リネン)をアイロンがけする際、シャツやブラウスは半乾きの状態でかけるとしわやよれを伸ばしやすくなります。
もし完全に乾いている場合は、霧吹きで水をたっぷり与えながら高温で仕上げてください。また、濃い色合いの衣類は、当て布を置いてアイロンをかけましょう。
アイロンがけが終わり仕舞うときには、完全に乾かしてから収納するのがポイントです。衣類に水分が残っているままだと、しわやよれの原因となります。しばらくハンガーに干しておくのといいですよ。
さまざまな洗濯方法がありましたが、しっかりと学べましたか?
これだけ方法を知っているあなたは、すでに麻(リネン)マスターです!
…と言いたいところですが、実はあと一歩足りていません。
冒頭でも少しお話しましたが、麻(リネン)にはいくつか弱点がありましたね。
合わせて注意点もまとめたので、不測の事態に備えて知っておきましょう!
麻(リネン)素材の服を洗う時に、注意しておきたい点から見ていきましょう。
麻(リネン)において、真っ先に思いつく弱点は「しわ」です。
既に洗濯方法をいくつも紹介しましたが、濡れた状態で放置するのは厳禁です!
洗濯後はできるだけ早く、紹介した干し方を実践しましょう。
濡れているから危険だ!といって、脱水しすぎるのも危険。
搾りすぎた生地は、そのダメージがしわとして残ってしまうのです。
ぜひ覚えておいてくださいね!
「色落ち」も気を付けたいポイントのひとつ。
そもそも麻(リネン)は色が付きにくい素材ということを知っていますか?
そのため、特に色の濃い衣服は、その色が落ちやすいのです。
そうした服は無理に洗濯機で洗わず、少々手間でも手洗いがおすすめ。
他の服に色移りする心配がありませんし、手洗いはダメージも少ないのです。
何年も美しい色を楽しむためにも、大切に扱いたいですよね♪
対処に苦労するのは「縮みやすい」性質です。
この原因は繊維の目が粗いことから来ています。
他の2つと違い、気を付けていても起きてしまう問題ですね。
ぬるま湯を使うことで、多少は防げるのですが..、それでもやっぱり注意が必要なんです。
対処法はあるので、ご安心を!
用意するものは「リンス」か「コンディショナー」です。
繊維の目が詰まってしまうことが原因だと話しましたね?
これらを使うことで、髪の毛と同じように絡まった繊維を解きほぐしてくれるんです。
やり方もとっても簡単!
ぬるま湯に縮んだ服を入れ、リンスを3プッシュ入れます。
その後1時間程つけ置きし、最後にすすいでから水気を取り、乾かしましょう。
たったこれだけで、ふんわりとした元の状態に復活します!
ウールなども同様に戻るので、すでに気になる服がある場合もお試しあれ♪
夏に重宝する麻(リネン)は、しわになりやすかったり縮みやすかったりと意外と手入れが難しい素材。
より長持ちさせて気持ちよく着られるよう、正しい手入れ方法を身につけましょう。