ハーフソール交換・補強の職人技を大特集!大切な靴を長くかっこよく

■ハーフソール修理は、靴底の前半分を補強する修理
■ハーフソールの補強材を貼り付けて、靴に馴染む仕上げをしてくれる
■ハーフソール修理で、大切な靴を長く愛用できるようになる

まっつん

更新日:2018年11月27日

靴の前底部分、「ハーフソール」。

歩いているうちに減ってしまい、気づいたときにはとても薄くなっていることもある部分です。

ハーフソールが薄くなっていると、靴にクッション性がなくなり足にマメなどができる原因にも。
また、ずっとそのままにしていると大切な靴に穴が開いてしまいかねません。

そんなハーフソールの修理は、実はプロの職人さんに頼むとまるで新品のようにきれいに仕上がるんです。

今回は、靴修理のプロ「靴修理かみとり」さんの、ハーフソールの修理を取材してきました。
丁寧な仕事ぶりとプロの技術に、驚かされること間違いありません。

今回の靴修理は…

今回ハーフソールをお願いしたのは、靴修理かみとりの三森(みつもり)さん。

靴修理かみとりさんは、オールソール、ハーフソール、かかとゴム修理、つま先補強といった靴修理全般を行っている靴修理のプロ。
オールソールやハーフソールって何?と思われるかもしれませんが、そちらはのちほど詳しく解説します。

靴について学ぶ学校で、店長の神鳥(かみとり)さんの後輩だったという三森さんが、丁寧にハーフソールをしてくれました。

 

修理したのは、こちらの靴。

この靴底はゴム製ですが、たくさん履いて前半分の部分が薄くなっています。
クッション性が低くなっているので足が痛くなりやすいです。

また、糸も少しほつれそうになっていて、前底部分の補強が必要そうです。

 

ハーフソールの修理のこと

今回やってもらう修理の名前は、「ハーフソール」。
まずはハーフソールのことを、店長の神鳥さんに教えてもらいました。

靴の修理には様々ありますが、その中でも今回教えてもらったのはよく行われる4つの修理について。

かかとゴム修理(1)
すり減ったかかとのゴムを交換する修理。

つま先補強(2)
履いてすり減ったつま先を補強したり、新品の靴のつま先が削れにくくなるように補強する修理。

 

オールソール(3)
靴底全体を交換する修理。

ハーフソール(4)
靴底の前半分を補強する修理。

 

「ハーフソールの修理は、靴の前底に補強材を貼り付けて補強する修理です」

靴底の前半分をゴムや革といった素材で補強します。

 

ハーフソールかオールソールかは、ソールやコバを見て判断する

靴底を全体的に交換するか、それとも前半分の補強にとどめるかは、どのように決めたらいいのでしょう。

「ソールがどれくらい劣化しているか、どれくらい削れてしまっているかを見て判断します。
具体的に言うと、靴のコバまで削れているときには、オールソールをお勧めしていますね。

ハーフソールよりオールソールをした方がいい靴の場合は、靴を見た段階でそのことをお客さんにお話しています。」

コバは、靴の前方のフチ周りのうち、靴の甲の革より外側にはみ出た部分のことです。

 

ハーフソールで、お気に入りの靴が長持ちする

ハーフソールをすると、靴にどんないいことがあるのでしょうか。

「減ってしまった靴底を補強することで、クッション性を持たせることができます。

また、ゴムでの補強の場合は雨に強かったり、滑り止めとなったりというメリットもあります。」

靴底がとても薄くなってしまう前に行うのがポイントだ、という神鳥さん。

「早めに補強をすることで、靴の土台が傷んでしまうのを防げます。

補強材を交換しながら履き続けることで、靴が長持ちしますよ。」

 

 

 

ハーフソールの流れ

 

今回お願いしたハーフソールの流れは、こちら。

1. 補強する靴底の前半分を削ります

2. 必要に応じて、つま先を補強します

 

ここから、実際にハーフソールの補強材を貼り付けます。

3. 補強材と靴にプライマーとのりを塗ります

4. ハーフソールの補強材を貼り付けます

5. 補強材を圧着します

6. 靴に合わせてカッターやグラインダで調整します

これで、貼り付けが完了しました。

 

最後に、仕上げをします。

7. 側面を染色します

8. バフをかけて、ツヤを出します

染色とツヤ出しで、綺麗な仕上がりになります。

以上でプロのハーフソールは完了。

 

 

プロが靴修理に使う機械

靴修理を始める前に、プロが使う機械の紹介をしてもらいました。
プロの技術を支える機械を、まずはチェックしてみましょう。

・グラインダ
研磨紙を付けて回転させ、物を研磨する機械。

グラインダは、実は靴の修理には1番といってもいいくらい大切な機械。

目の粗い研磨紙、目の細かい研磨紙、そしてエアペーパーというよりやわらかな研磨紙など、プロは何種類もの研磨紙を削りたい量や靴の箇所などによって使い分けています。

今回のハーフソール修理では、グラインダの中でもリングペーパーというものが、細かい部分の研磨で大活躍します。

 

 

・バフ
靴の底面や側面にワックスを塗りこみ、磨き上げる機械です。

最後のツヤ出しは、こちらのバフにお任せ。フワフワのバフにかけると、ピカピカになります。

 

プロが靴修理に使う道具

次に、プロの道具もご紹介。
職人の手に馴染んで、靴を蘇らせる道具たちです。

釘切り(1)
靴の釘を抜いたり、切ったりするための道具。

ソールはがし(2)
靴底をつまんで、剥がすための道具。

ハンマー(3)
部品を靴に打ち付けるのに使います。今回は、つま先の補強材やハーフソールを貼り付けるときに活躍。

リペアばさみ(4)
ゴムを切ったり、革を切ったりするのに使う、修理用のはさみです。

斜ニッパー(5)
刃が傾斜したニッパーのこと。ソールはがし(3)では取り切れないものを取ったり、釘を切ったり抜いたり、と万能な道具。

 

 

 

これで、ハーフソールの予習は完璧。
プロの靴修理を、さっそく見ていきましょう。

 

 

削り・つま先補強

ハーフソールの補強材を貼り付ける前に、まずは削りや必要に応じてつま先補強をして準備をします。

 

1. 靴底を削る

ハーフソールを貼り付けられるように、靴底の前半分を削っていきます。

まずはじめに、後で貼り付ける補強材を靴に合わせます。
靴底の削る部分を決め、テープで印をつけます。

 

グラインダで接着面を削り、接着の準備をします。

「ハーフソールの修理で難しいのは、しっかりと接着すること。
より強く接着するためには、接着面を削って靴と補強材がぴったりとくっつくようにする必要があります。

前底の削れ具合や補強材に合わせて、丁寧に削っていきます。」

 

 

2. 必要に応じてつま先を補強する

つま先の削れが酷い場合は、ハーフソールの補強材を貼り付ける前につま先の補強をします。

「つま先は、靴の中でも一番といっていいほど削れやすい箇所。大きく削れてしまっている場合も多いです。

ハーフソールの貼り付けだけで対応できない場合は、先につま先補強の修理をしてからハーフソールを行います。」

 

つま先補強はそれだけで注文される方も多い修理で、職人さんのこだわりも盛りだくさんですが、今回は工程のみを簡単に紹介します。
つま先の状態に合わせて削った補強材を素材に合わせた接着剤で貼り、リペアばさみやグラインダを使って調整します。

「つま先は歩くときにけり出す力が加わる場所。
補強材が剥がれることがないように、そして靴のデザインを損なうことがないように、グラインダで靴底のラインにぴったりと沿わせて削ります。」

 

仕上げに、グラインダのリングペーパーで削ります。

「リングペーパーは、より精密な削りの時に使います。コバという部分を傷つけないように、丁寧にリングペーパーで削っていきます。」

コバは外側に出ているので、グラインダにかけたときに削れてしまいやすいんですね。

 

補強材貼り付け

いよいよ、靴底の前半分に補強材を貼り付けていきます。

 

1. プライマー・接着剤を塗る

靴底と補強材に、プライマーと接着剤を塗ります。

まず最初に塗るのは、プライマー。

「プライマーは、のりをしっかりとつけるための接着剤、のようなものです。

プライマーは、10種類を使い分けています。ゴムや革の違いはもちろん、例えばゴムの中にも天然ゴムや合成天然ゴム、ウレタンゴムなどたくさんの種類がありますよね。それぞれに合ったプライマーを使うことでより粘着力を高めています。」

しっかりと補強材を貼り付けるために、いくつもの接着剤を用意して使い分けているんですね。職人さんのこだわりが感じられます。

 

プライマーの後は接着剤をつけて目印のテープをはがし、少し乾かしたらドライヤーをあてます。

「自分の手の感覚で、これくらいの乾き具合ならよく接着するな、と判断しています。経験が大きいですね。

大体乾いたらドライヤーを当てて、接着剤を活性化させます。粘着度を上げてしっかりと補強材を貼り付けるための工夫です。」

 

2. ハーフソールの補強材を貼り付ける

接着剤をつけた補強材を靴底に貼り付けます。

「今回使うのは、ゴムの補強材です。

雨に強く、ゴムのハーフソールをつけておけば革靴そのものの劣化を防ぐことができます。
また、滑り止めにもなるのでゴムを選ばれる方は多いですね。」

ハーフソールの補強材としては、ゴムの他に革もあります。

「革は、やはり足に馴染みやすいのが魅力ですね。
また革の靴底の風合いが好きだという方も革の補強材を選ばれています。」

 

3. 圧着する

ハンマーで叩いて、圧着します。

「圧着機だと、1つ1つの靴のカーブに沿って圧着することができません。手作業で、靴の形に合わせて丁寧に圧着していきます。」

 

一度全体的に貼り付けたら、カッターを使って余分な部分を切り落とします。

「カッターは小回りが利き、薄いものをスピードを持って切ることができます。ハーフソールのカット向きですね。

逆に厚いものを切るには力が必要になるので、カッターではなくリペアばさみを使います。」

 

周りが落とせたら、ハンマーでもう一度靴底全体をトントンと叩いていきます。

「ハーフソールは、どうしてもはがれやすいパーツです。ハンマーで念入りにもう一度叩き、きちんと圧着します。」

職人さんの手作業で、靴のカーブに合わせてしっかりと補強材が貼り付けられましたね。

 

4. 調整する

ハンマーで叩いたら、グラインダで削ります

「細かい調整なので、リングペーパーを使います。見た目も綺麗に、履きたい靴となるように丁寧に仕上げます。」

お気に入りの靴に補強材をつけたとき、どうしても見た目が気になるもの。丁寧にデザインを崩さないように修理をしてくれるのは、嬉しい限りです。

 

染色・ツヤ出し

補強材の貼り付けは終わり、最後に染色とツヤ出しをしていきます。

 

1. インクで染色する

筆にインクを取って、補強した部分の側面を染色します。

「染色するときには、アッパーの革を汚さないように気をつけながら行います。

色味は、コバの色や靴全体の雰囲気、ツヤ感を見て決めています。
修理箇所が悪目立ちしてしまわないように、工夫しているんですよ。」

アッパーというのは、足の甲の部分を覆っている革のことです。

 

色を入れたら、乾かします。

「きちんと乾かして、インクが中に染みこむのを待ちます。インクが染みこむ前にすぐにバフをかけてしまうと色が落ちてしまいますし、色味が落ち着きません。」

靴の仕上がりの色味にもこだわっているからこそのひと手間ですね。

 

2. バフをかける

最後に、靴にバフをかけます。

「バフを使ってワックスを靴に塗りこみ、磨いてツヤを出します。ワックスの塗り具合に関しては、靴の雰囲気に合わせます。」

 

これで、プロのハーフソールは完成です。

プロのハーフソールを振り返って

修理が終わったところで、さっそくプロの手にかかった靴を確認してみましょう。

靴底の前半分が補強されて、しっかりとした靴底になっています。
雨にも強く、滑り止めの効果も期待できます。

 

少し、修理前の靴と修理後の靴を比べてみましょう。

左が修理前、そして右が修理後なのは一目で分かりますね。

薄く削れていた靴底が、ゴムの補強材で補強されて安定感があります。
これなら、靴底が薄くて歩いているうちに足が痛くなることはなさそうですね。
また、特に薄くなっているつま先も、つま先補強をしたことでとてもしっかりとした印象に変わりました。

仕上がりも、後から別の素材を付けたとは思えないくらいとても滑らか。
側面を見たときには特に、ゴムが元々の靴底と一体化しているように感じられますね。
まるで新品のように感じさせる、プロだからできる仕上がりです。

 

 

修理で、大切な靴を履きつづけて欲しい

最後に、靴修理かみとりの店長の神鳥さんに、靴を修理することについてお話をお聞きしました。

それこそ靴底に穴が空いてしまった、というような難しい修理の時でも修理を受けるようにしているという神鳥さん。

「他店で修理を断られたという靴、難しい修理でも出来るだけ『できない』と言わないようにしています。

もちろんちょっと靴の状態が気になるなと思った段階で修理をしてもらうのが、靴の長持ちの秘けつです。

ですが、壊れてしまった大切な靴、そして下駄箱に眠っている、ちょっと修理は難しいかなという靴でも、修理に出してみてください。わたしたちプロなら、誠心誠意、修理しますよ。」

修理を頼まれるのは、お客さんにとって大切な靴。そんな大切な靴を、職人さんはできる限り100%に近付ける修理をしています。
その道のプロだからこそできる完璧な仕上がりに、感動でした。

 

そして、今回のハーフソールの修理の様子を動画にまとめました。
ぜひ動画でもプロの靴修理の技を確認してみてください!

 

まとめ

お気に入りの靴をより長く履くための、それぞれの靴に合わせた修理。
今回のハーフソールでは、靴底に補強材をぴったりとつけるための工夫がたくさんでした。

修理後の靴底はしっかりとした印象で、クッション性も高まり雨にも強そう。
そして何より、まるで同じ素材のように補強材が靴底にぴったりと馴染む様子は、さすが職人の技だと感じさせられました。

今回、靴のつま先補強の修理を担当してくださったのは、靴修理かみとりの三森さん。
大切な靴を大切にして長く履くための修理を、ありがとうございました!

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