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更新日 :2018年11月27日

革靴のお手入れは馬毛と豚毛の二刀流!雨にも傷にも負けない徹底解説

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革靴を手入れしようにも道具が無い、なんてことは少ないと思います。
お店はすかさず靴磨きセットを売り込んでくるものですからね。

でも、そのセットを妄信しちゃいけないのです。

 

考えてもみて下さい、相手は獣の革ですよ?
何度もオイルを塗らないと生きていけない、なんてことあるはずがないのです。

というわけで、『革の手入れ』ってものに対する常識を切り崩しながら、正しい方法を紹介していきますね。

まずは思い込みを取り払いましょう

さて、革靴を手入れしていくわけですが……使う道具は何を思い浮かべますか?
クリーナー・ブラシ・クリーム……もしかしたら、思い浮かべたうちの半分くらいは不要かもしれません。

もう少し詳しく

どういうことかと言うと、『革靴をどれだけ使うか』で手入れが変わってくるのですよ。

たまーに使うだけ——例えば冠婚葬祭だけとかなら、おおげさな手入れは必要ありません。
ブラシで磨けば充分なのですよ。

じゃあよく知られている『クリーナーで磨いてクリームを塗って』みたいな手入れが要るのはどういう靴か。

毎日のように使った靴に、1,2ヶ月に1回やる。これが正解なのです。
くたびれた靴を復活させるための作業ですからね。

クリームを使うようなメンテナンスがよく知られているのは、靴屋の人がそう教えてしまうから。
まあ手入れとして間違いではありませんからね。頻繁にやるものじゃないってだけですし。

その辺りの手入れ用品が売れないと商売になりませんからね、そこは目をつむって自分は買わないようにしましょ。

軽めの手入れ

週に何度も使ったり、たまに使うだけの人に向けたものになります。

とは言ってもブラシを使って磨くだけなんですがね。
ブラシ程度で革が傷ついたりする心配はありません。相手は元獣なのです、金属たわしでも使わない限り丈夫ですよ。

これは家に帰ったらする手入れとして考えて下さい。

用意する道具

必要なものを並べていきます。

並べるってほどの数じゃありませんが。

ブラシ

靴用のブラシであればなんでも構いません。ガシガシ磨くので、腕の持久力と相談して何を使うか決めましょう。

例えばこの馬毛ブラシは柔らかめで、動かす時の力は少なく済むものの往復回数が多くなります。クリームを伸ばすのに使われたりもしますが、ここではその使い方をしません。

サイズは同じくらいのものを選んで下さいね。
……たわしはダメですよ?

いえ、ふざけてるのではなく。
乾拭きするための物なので、きれいな雑巾とか服の切れ端とかでもいいんですよ。

まあそれだけじゃあ無責任に過ぎると思うので、専用の品を一つ。

乾拭きと靴磨きの為にある布ですね。手袋型――袋とじみたいになってるので、不意に指紋がつくなんてことも抑えられます。
ワックスとかは対応してないので、気を付けて下さいね。

手順

文字に起こしてしまえば難しいことはありません。大事なのは毎回やることなのです。

1. まずブラッシング

汚れをざっと落としてあげます。ホコリが案外たまるもので、革から油や水分を吸い取っていきますからね。全体を撫でて、少し磨いたら次にいきましょう。

 

2. 乾拭き

ブラッシングで取りきれなかった汚れを取る……という意味もありますが、表面を磨くのが主目的になります。
力強く擦るのではなく、素早く摩擦させるといいでしょう。熱で軽い光沢が出てくれます。

 

3. もっかいブラッシング

汚れを全部取りきったら、本格的にブラッシングです。革の内側から毛羽立たせるように、まんべんなく磨いていきましょう。
革は内部に油をためています、ブラッシングでそいつを表に引っ張り出してやるわけですよ。そうすると革に自然なコーティングができるって寸法です。

で、最後に布で整えたら御仕舞いです。

これをその日 履き終えるたびに……そうですね、3~5分くらいやるとかなり調子がよくなります。
ええ、見違えると思いますよ。

靴底とかにも目を向けてみて……

どうです? 靴の手入れは出来そうですか?
さて、ここではちょっとだけ踏み込んだ手入れのお話をしましょう。

慣れて来たら、色々な部分にも目を向けてみるといいですよ。

靴ひもは大丈夫ですか?

よく見てみてください。結構ボロボロじゃありませんか?

しばらく使っていると、思った以上に汚れたり擦り切れたりするものです。
気が向いた時にでも変えるのをオススメしますよ。

例えば、靴ひもを解かずに靴を脱いだりすると、すぐ劣化するんですよ。
よくやっちゃうのは分かるんですけどね。

緩んだ状態で歩いても劣化は早まりますし、予備はいくつか用意しておくのをオススメします。

靴底にも気を配って

まあタイトル通りなんですがね。

靴底への負担がかなり重いってのは書くまでもないとは思うのですが、やはり溜まっていくもので。
長く使っていくならしっかりケアしておくべきなのですよ。

気を付けないと、かかとの革が剥げたりしますから。

とは言ってもブラシで汚れを落とすだけですけどね。

で、これがオススメするブラシです。かなり固めの毛で、こべり付いた汚れをこそぎ落とすのに丁度いい。
靴底専用として一つ準備しておくといいですよ。

まあ、これに限らず固めのブラシなら何でもいいはずです。たわしはダメですよ?

本格的な手入れ

さて、クリームとかその辺を使う手入れを書いていきます。

よく使うのなら1ヶ月に1回、たまに使う程度なら2,3ヶ月に1回、ほぼ使わないなら必要なし……という感じの頻度でやりましょう。

中古で買った靴を使い始める前にやるのもオススメしておきます。新品のは店が手入れしてくれてますからね。

使う道具たち

最低限のものを挙げていきますね。

そんなにたくさん出されても用意できないでしょうし、簡単に使いこなせるものでもありませんから。

ブラシ

さっきも書きましたが、毛の種類はお好みで構いません。
上では馬毛のブラシを紹介してるので、こっちでは豚のを紹介しましょう。

固めのブラシになります。がしがしするのがちょっと気持ちよかったり。
これでクリームを伸ばす使い方もされるみたいですが……ここではしません。

あ、もし普段磨くブラシにクリームが付くのが嫌なら、2つ準備するのもいいでしょう。

クリームを塗ったりするのに使います。普段靴を磨くのに使うやつ以外に用意してくださいね。

やっぱりこれも布切れで構いません。分からなくならないよう気を付けて。

クリーム

シュークリームとも。キャベツ(Chou)ではなく靴(Shoe)ですよ。

色付きのより、透明なやつをオススメします。靴と全く同じ色を見付けるとか無茶ですからね。

で、これの『ナチュラル』が透明な部類の色です。白っぽいですが、そこはまぁ許容範囲ということで。

これで適度な油分と水分を与えるのが重要なのですよ。すべてはここに集約されるのです!(おおげさ)

油性シューポリッシュ

油性シューポリッシュは美しい光沢を出すワックスとしての役割があります。
でも塗りすぎると、ひび割れの原因にもなるので注意しましょう。

シューポリッシュにも様々な種類があります。その中でも、自分の靴にあった色を選ぶことが大切です。色が豊富なので、この商品をおすすめしておきます。適切な色を選んで、ツヤを出しましょう!

革靴のお手入れ方法

用意するものが揃ったら、さっそくお手入れです。

1. ブラッシングする

まずは、ブラシを使ってブラッシングします。
丁寧にホコリを落としましょう。

 

2. クリームを塗る

布にクリームを少し取り、全体にムラなく塗っていきましょう。多すぎると、ひび割れの原因になることも。

クリームが固ければ、少し水を含ませてもいいでしょう。

うすーく塗るのが最大のポイントです、重ね塗りはダメですよー。
終わったら、普段使う布やブラシで軽く拭くといいです。

 

3. 光沢を出す

ワックスを使って、革靴に光沢を出します。

布に少量とって、円を描くようにしながら全体に薄く伸ばしましょう。

 

4. 仕上げ磨き

仕上げに、乾いたクロスで磨きます。光沢が出るまで摩擦しましょう。
最後に軽ーくブラッシングして完了です。

手順の中でも、ブラッシング仕上げ磨きは、特に重要。
1つ目の項目でも書きましたが、なるべく毎回行いましょう!

ブラッシングによって、ホコリが落とせるのはもちろん、革を生き生きさせることに繋がります。
仕上げ磨きも大切です。実際、ブラッシングと仕上げ磨きを毎日やれば、それだけで1ヶ月はツヤツヤの状態を保つことができるんです。

ピンポイントなアイテム紹介

手入れとしては一般的ではない(毎回使うような物じゃない)ものの、特殊な条件では使うってものがあります。

全く書かないのでは不親切ですし、ずらっと並べてみましょう。

シューキーパー

はい、出だしから普段使いのものです。誰だよ特殊な条件とか書いたの。(自分だよ)

足の形をした器具。靴の中に入れて、靴の形が崩れないようにするために使います。
保管しておくときだけでなく、お手入れの時にも入れておくのが吉◎。

シューズキーパーは、こちらがおすすめ。前後だけでなく、つま先やかかとまで調節できます。高級感のある持ち手もポイント。除湿、芳香、脱臭に優れた木材を使用していて、靴の形を綺麗に保つだけでなく、気になるにおいもしっかり消臭してくれます。

スエード用汚れ取りブラシ

突然スエードの話?!とびっくりしたらごめんなさい。スエードは、起毛革の一つ。革靴のお手入れを紹介するなら、スエードのことも触れておかなくてはなりません。

スエード用の汚れ取りブラシは、生ゴムでできたブラシ。ゴムの部分で、スエードの毛の奥に入り込んだ汚れもしっかり取り除きます。
ゴムを手で柔らかくしてからブラッシングしましょう。

一見、ブラシに見えない道具ですが、スエード用のブラシなんです。ゴムにホコリがしっかりくっついて、簡単に綺麗になります。起毛革のお手入れには欠かせません。スエード靴を買ったらぜひいっしょに手に入れましょう。

今回は、起毛革のことについては、詳しく解説していません。スエード靴のお手入れ方法は、「スエードの靴の汚れの正しい洗い方とは?普段のお手入れ方法も解説」に詳しく書いてあります!普段のお手入れ方法はもちろん、なんとシャンプーする方法も解説されていますよ!

リムーバー

革靴についた汚れや、古いクリームなどを除去するために使います。

軟水をベースに作られたクリーナーです。使い心地もまるで水のようで、使いやすいです。汚れ落ちが良く、革に優しいのでおすすめですよ。このクリーナーを使えば、革靴もすっぴんのようになります。

靴墨を上塗りしすぎちゃってると、ブラシをかけただけでも痕がつく事があります。これは表面に重なってるワックスとかが傷ついてるから。
化粧が落ちてるみたいなもんです。

そういうのをリセットできるのがクリーナーって訳です。

厚塗りしなきゃこんなの必要ないんですがね。

コバクレヨン

コバとは、革靴のつま先の方の外に飛び出している部分。
色落ちしやすいので、塗りつぶすためのクレヨンがあるんです。
それがコバクレヨンになります。あると便利ですよ!

コバにこすり付けるようにして色をつけます。コバは、こすれて色が薄くなりがちです。意外と目につくので、しっかりお手入れするのがおすすです。クレヨンにはブラックとブラウンがあるので、ちゃんと色を選んで使ってくださいね♪

消臭剤

見た目だけでなく、革靴のにおいも気になりますよね?消臭剤もあります。

おすすめの商品

こちらの商品、スプーン1杯分でなんと半年も消臭効果が持続するんです!使い方も簡単で、粉末を靴の中に入れるだけ。香りでごまかすのではなく、臭いの原因を取り除きます。足の臭いが気になる方はぜひ使ってみてくださいね。

とはいえ革靴につく悪臭の大半は、何日も履き続けたことが原因です。
他の靴を用意して交代で使うようにしないと臭いが復活するので気を付けてくださいね。

ひび割れについて詳しく知りたい場合には、「革靴のひび割れは日々我々のケアにかかっていると、ここに宣言します」をご覧ください!
ひび割れた革靴に対する対処法もしっかり解説されています。
なんと、シャンプーで洗うんです!

革靴が濡れてしまったら

突然の雨で、革靴が濡れてしまった!なんて時には、なるべく早くお手入れするのがポイント。

用意するもの

・新聞紙
・クロス
・ブラシ

 

   手順  

1. クロスで水を拭き取る

何にも優先して拭き取りましょう。表面の水を取るだけでも違いますから。
出先でもハンカチやティッシュで拭き取るのが大切です。

 

2. 新聞紙を詰めて乾かす

新聞紙を詰めます

濡れてしまった革靴は中に新聞紙を詰めて、風通しの良い日陰に置き、半日ほどかけて乾かします。

注意
急激に乾燥させると、ひび割れの原因になります。直射日光や直火は絶対に避けましょう。

 

3. ブラッシング

あとはブラッシングして、乾拭きをすれば完了です。
要するに普段やって下さいって書いたのと同じ事をしてください。

手入れをしっかりしていれば、雨なんて怖くありません。
あ、でもビショビショになったらさすがに数日は履くの控えましょうね。

革靴が傷ついてしまったら

少しの傷なら、クリームを塗りこむことで目立たなくできます。

用意するもの

・ブラシ
・クロス
・クリーム(靴と同系色のもの)

 

   手順  

1. ブラッシングする

ブラッシングします

ブラッシングをしてホコリを落とします。

 

2. 同系色のクリームを塗りこむ

同系色のクリームを塗ります

傷のある部分を中心に、色のあるクリームをクロスで塗り込んでいきます。靴の色と合っているものを使いましょう。色が違っていると、逆に傷が目立ってしまうことになります。

思った通りの色がない場合には、薄い方のクリームを使いましょう。

 

3. 全体を磨く

再びブラッシングします

再びブラッシングをして、余分なクリームを取り除きます。
さらにツヤを出すために、クロスで磨きましょう。

これで、傷が目立たなくなるはずです。

 

広い範囲の傷や、深い傷は自分で対処するのは困難。大切な革靴であれば、無理せずプロに修理をお願いしましょう。

あなたのマイスターでは、靴修理・靴磨きのプロに「革靴の表面についた傷の修繕をプロに頼むと、どのようなお直しをしてもらえますか?」と聞いてみました!たくさんの回答の中から2つをご紹介します。

プリマベーラインターナショナル株式会社さん(福岡県)

キズの度合いによりますが、浅ければ専用クリーム、深い場合は染料や専用の溶剤を使用します。

 

Antico Ciabattinoさん(愛知県)

細かいペーパーで表面を滑らかにした後、補色をし、全体を磨くことで、目立たなくすることができます。

 

傷の度合いにもよるものの、プロは専用のクリームや溶剤を使って、傷を目立たなくしてくれるようです。

革靴の傷って意外と目立ちます。自分でクリームを塗っても綺麗にならなかった場合でも、ぜひプロにも相談してみてください。(いっそ最初からプロに頼んじゃう?)

「あなたのマイスター」では、もっとたくさんのプロに、他にもいろいろな疑問に答えてもらっています。
そんなプロの声を「プロが答えてお悩み解決!アスクマイスター」に集めました。
自分で靴のお手入れをする時にも、プロに修理をお願いする時にも、役に立つこと間違いなしです!

 

まとめ

さて、いかがでしたか?

気付いた方もいるかもしれません、全部の項目で『ブラッシング』の話をしてるのです。
それくらい、革の手入れには欠かせない手順なのですよ。

それを意識してもらえればマスターしたようなものです。

 

そして、革靴の表面がカサカサしてきた時にはクリームを使ってみるといいですね。

何よりも革靴を大切に思う気持ちが大切。普段からちゃんとお手入れをして、革靴を長く使ってあげましょう。

 

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