仏壇をお持ちのご家庭は、引越しをする際に、仏壇の引越しも同時に行わなくてはなりませんね。
大切なご先祖さまを祀る仏壇は、他の家具とは異なり、移動させる際に、さまざまな準備が必要なことをご存知ですか?
今回は、仏壇の正しい引越し方法や、やむを得ず処分しなくてはいけない場合の処分方法などについてご紹介します。
目次
仏壇は、一般的に宗教の信仰対象物となる仏像や掛け軸などの御本尊が安置されており、仏壇に祀られている位牌(いはい)には、亡くなったご先祖さまの魂が祀られているとされています。
そのため、引越しをする際には、一時的に魂を抜いて、ただの物として移動させることが必要となります。
そこで、まず引越しが決まったら、およそ1ヶ月前を目処にお寺の住職などに供養の依頼を行い、引越しの1週間前〜前日までに供養を行うようにしましょう。
細かい作法などは宗派によって異なりますが、浄土宗や真言宗などでは、「閉眼供養(へいげんくよう)」「魂抜き」「開眼供養(かいげんくよう)」「魂入れ」という供養が必要となります。
また、浄土真宗には仏壇に魂を入れるという考え方がありません。
そのため、他の宗派のような「魂抜き」の供養は必要ありません。 その代わり、「入仏法要(にゅうぶつほうよう)」「遷仏法要(せんぶつほうよう)」という供養を行うのが一般的です。
それでは、仏壇を実際に移動させる方法について見てみましょう。
仏壇の引越しは他の家具とは少し違いますので、注意してくださいね。
仏壇の引越し準備をする前に、まず仏壇の写真を撮っておくことがおすすめです。
仏壇には、付属品がたくさんあるため、どこに何をおけば良いのか引越し後に分からなくならないように写真を残しておくようにしましょう。
仏壇を移動させる方法としては、「自分で移動させる」「引越し業者に依頼する」「仏壇店に依頼する」のいずれかが考えられます。
いずれの場合でも、「位牌」や「ご本尊」「遺影」は、破損などを防ぐためにも、ダンボールなどには入れずに、白い布で包み、直接自分の手で持ち運ぶようにすることがおすすめです。
これらはとっても大切なもの。壊れてしまっては大変!他の荷物と一緒に運ぶ中で壊れてしまうリスクを避けるためにも、小物は自分で持って移動すると安心ですよ。
自分で仏壇を移動させる場合は、しっかりと固定して倒れないようにすることが大切なので、助手席などに乗せて運ぶことがおすすめです。
また、梱包する際には、解体などはせずに、なるべくそのままの状態で梱包して、運ぶようにしましょう。
引越し業者に依頼する場合には、通常の引越しの荷物と同様に運んでしまうと、配送中に横に倒して壊れてしまう可能性もあります。
仏壇は、高価な上に、とてもデリケートなものなので、通常の家具などと異なり丁寧に運ばなくてはなりません。
引越し業者によっては、仏壇移動サービスのある業者などもあるので、引越しが決まった際に、事前に仏壇の移動が可能かどうか確認しておくことが大切です。
仏壇を移動する方法の中で、一番安心なのが「仏壇店に依頼する」ことです。
仏壇店であれば、専門知識を持ったスタッフが引越しを行ってくれますので、安心して任せることができます。
値段は少し割高になることもありますが、お近くの仏壇店や仏壇を購入したお店に確認してみると良いですよ。
引越しをするとなると、新居のどこに仏壇をおけば良いのか迷う方もいるのではないでしょうか。
新居での仏壇の置き場に困らないように、事前にどうすればいいのかも知っておきましょう。
基本的には、仏壇はどの場所に置いても良いとされていますが、東面西坐といって、仏壇の正面が東側を向き、西側を背にした位置がもっとも良い方角とされています。
しかし、家の間取りによっては、良いとされている方角に向けて置けないこともあるかと思います。
その場合は、日頃のお参りとお手入れがしやすい場所を選んだり、ご先祖さまが喜ぶであろう場所を選んだりすると良いでしょう。
また、仏壇は木でできていることが多いため、直射日光が当たったり、湿気の多い場所に置いたりしておくと木にヒビが入って、壊れてしまうことがあります。
また、装飾で施されている金箔も、直射日光が当たることで色がくすんでしまうこともありますし、小物にも悪影響が出ることも。
置き場所を選ぶ際には、そのような場所は避けておくようにしましょう。
仏壇の引越しで必要になる費用は、引越しの費用だけではありません。
準備の段階で住職さんに渡すお布施もまた、必要な費用として考えておかなければなりません。
宗派によって違いますが、引っ越し前と引っ越し後にそれぞれ仏壇を供養してもらう必要があります。
供養に掛かる金額については、お布施という形で渡すのが一般的なため、明確な金額が決まっていないこともあります。 代々お世話になっているお寺にお願いする場合は、あらかじめ親族などに確認をして、金額を決めておくことがおすすめです。
もし相談できる親族がいない場合は、そのお寺との付き合いの程度にもよりますが、10,000~30,000円を準備しておくといいでしょう。
お布施を渡すタイミングは、住職さんが読経を終えて帰る直前にお渡しするのがベストです。
また、供養は家でしてもらうため、それに必要なお供え物や住職さんに出すお茶菓子なども必要になるので、事前に準備しておきましょう。
これらの準備を考えると、引越しの1か月前ぐらいには、供養を依頼しようと考えているお寺に相談するといいでしょう。
仏壇の引越しにかかる費用は、依頼する先によって多少変わってきます。 引越しの荷物と一緒に運んでもらう場合は、見積もり時に聞いてみましょう。
大手の運送会社や引越し業者の場合であれば、よほどの理由がない限り運んでくれますが、中には仏壇の引越しは仏壇専門の別の業者に依頼していることも。
もしそうなればオプション扱いになるため、金額も確かめておく必要がありますね。
仏壇はデリケートな物でもあるので、丁寧に作業してほしいと思うなら、仏壇店にお願いするのもひとつの方法。この場合も、まずは問い合わせてみましょう。
引越しにかかる費用は、仏壇の大きさや引越し先までの距離によって変わってきます。
少しでも安く抑えたいときには、複数の業者で見積もりをしてもらうのがおすすめです。
引越し先に仏壇を置くスペースがないなど、引越しを機会にやむを得ず仏壇の処分を検討する方もいるのではないでしょうか。
仏壇を処分する際は、仏壇を移動する際と同様に閉眼供養などの供養が必要となります。
処分の方法としては、仏具店や菩提寺に処分を依頼することが一般的です。
その他にも買取業者に買取を依頼したり、自分で処分する方法もありますが、処分に関する知識があり的確な処分をしてくれる、仏具店や菩提寺に依頼することがおすすめです。
ただし、処分費用は依頼する業者や内容によって費用が変わってきます。
引越しを依頼するときと同じように、複数の業者に見積もりをお願いしてみるといいでしょう。
また、置き場所がなかったり、今後管理する気がないという理由でやむを得ず処分する場合、粗大ごみとして処分することもできます。 その場合は、各自治体でルールが違うため、お住まいの自治体に確かめてみてくださいね。
地域によっては回収してもらえない場所もあるので、必ず問い合わせをしたうえで処分しましょう。
そして、仏壇を処分する前には、必ず引き出しの中やスキマをよく確認することを忘れずに。 もしかすると、故人との大切な思い出の品や写真が出てくるかもしれませんよ!
仏壇の引越し方法について、ご紹介しました。
仏壇は、大切なご先祖さまを祀る大切な存在です。
引越しが決まったら、前もって引越し先の置き場所や引越し方法、供養の依頼先などを検討して、余裕をもって引越しできるようにしてくださいね!