マンションや一軒家のハウスクリーニング(入居前・退去後クリーニングや、定期清掃など)のメニューに含まれる「エアコンの簡易清掃」と、専門業者に依頼する「エアコンクリーニング」は、清掃の範囲と深度が大きく異なります。
1. エアコンの簡易清掃(ハウスクリーニングに含まれる場合)
「簡易清掃」という言葉の通り、ごく表面的な清掃が主となります。
清掃範囲:
本体カバーの拭き掃除: 外側のプラスチックカバーを拭いてホコリや軽い汚れを取り除きます。
フィルターの洗浄: エアコン内部からフィルターを取り外し、ホコリを掃除機で吸い取ったり、水洗いしたりします。
吹き出し口の拭き掃除: 風が出てくるルーバー(羽)や、その周辺を拭いて見える範囲のホコリやカビを取り除きます。
特徴:
分解はしない: エアコン本体を大きく分解することは基本的にありません。ネジを外してカバーを一部開ける程度で、内部の奥までは手が届きません。
高圧洗浄はしない: 内部の熱交換器(フィン)や送風ファンへの高圧洗浄は行いません。
主な目的: 見た目の清潔感を保つことや、フィルターの目詰まりによる風量低下を一時的に防ぐことが目的です。
カビや臭いへの効果: 内部に根付いたカビや、それが原因の嫌な臭いに対しては、ほとんど効果が期待できません。
2. エアコンクリーニング(専門業者によるもの)
専門業者によるエアコンクリーニングは、エアコン内部の汚れを徹底的に除去することが最大の目的です。
清掃範囲:
本体カバーの分解: 外側のカバーやフィルターはもちろん、お掃除機能付きエアコンの場合はお掃除ユニットなども取り外します。
熱交換器(フィン)の洗浄: エアコンの心臓部であり、カビやホコリが最も溜まりやすい熱交換器に、専用の洗剤を噴霧し、高圧洗浄機で徹底的に洗い流します。
送風ファン・ドレンパンの洗浄: 吹き出し口の奥にある、カビやホコリがびっしり付着しやすい送風ファンや、結露水を受け止めるドレンパンも分解・または徹底的に高圧洗浄します。
防カビ・抗菌処理(オプションの場合あり): 清掃後、カビの発生を抑制するための防カビ剤を塗布するサービスもあります。
特徴:
分解洗浄: エアコン内部の主要なパーツを分解し、普段見えない・触れない場所までアクセスして清掃します。
高圧洗浄機と業務用洗剤: 専用の洗剤を汚れに浸透させた後、強力な高圧洗浄機で内部の奥深くまで洗い流します。これにより、頑固なカビ、ホコリ、ヤニなどを根こそぎ除去します。
健康と効率の改善: 内部のカビや雑菌を除去することで、エアコンからの嫌な臭いを解消し、アレルギーなどの健康リスクを低減します。また、熱交換効率が向上するため、電気代の節約にもつながります。
作業時間: 一般的な壁掛けエアコンで1時間半〜2時間程度、お掃除機能付きエアコンで2時間半〜3時間半程度かかることが多いです。
まとめ
項目 エアコンの簡易清掃(ハウスクリーニング付帯) エアコンクリーニング(専門業者)
清掃範囲 外装カバー、フィルター、吹き出し口の見える範囲 内部の熱交換器、送風ファン、ドレンパンまで
分解 基本的にしない、またはごく一部のみ 主要パーツを分解
洗浄方法 拭き掃除、フィルターの水洗い 高圧洗浄機、業務用洗剤
効果 見た目の改善、軽いホコリ除去 カビ・臭いの根本除去、効率改善、健康効果
目的 表面的な清潔感、フィルター詰まり防止 内部の徹底的な除菌・消臭、機能回復
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マンションや一軒家のハウスクリーニングに含まれる「簡易清掃」は、あくまで「おまけ」程度のものと考えるのが良いでしょう。本当にエアコンの内部を清潔にし、嫌な臭いや健康リスクを解消したいのであれば、別途、専門のエアコンクリーニング業者に依頼する必要があります。
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